マルチプレックスPCR法によるヒメハナカメムシ類5種の簡易識別法

マルチプレックスPCR法によるヒメハナカメムシ類5種の簡易識別法

タイトルマルチプレックスPCR法によるヒメハナカメムシ類5種の簡易識別法
要約 アザミウマ類などの農業害虫の天敵昆虫として知られるヒメハナカメムシ類の種の簡易同定のために、マルチプレックスPCR法を開発した。5本のプライマーを同時に用いることによって、種間でバンドパターンに多型が得られ、性・発育ステージを問わず、識別が可能である。
キーワードヒメハナカメムシ、種の識別、マルチプレックスPCR
担当機関(独)農業生物資源研究所 昆虫適応遺伝研究グループ 天敵昆虫研究チーム
連絡先0298-38-6077
区分(部会名)生物資源
分類技術開発、農業生産
背景・ねらいヒメハナカメムシ類はアザミウマ類などの微小な農業害虫の天敵として知られる。日本に分布するのは主に、ナミヒメハナカメムシ、タイリクヒメハナカメムシ、ツヤヒメハナカメムシ、コヒメハナカメムシ、ミナミヒメハナカメムシの5種である。これら5種は形態が酷似しており、種の識別が困難である。また、同定は主に雄成虫の交尾器を用いるため、雌成虫や幼虫での識別はできない。そこで、複数のプライマーを混合してPCRを行うマルチプレックスPCR法により、簡易にこれら5種を識別する方法を開発する。
成果の内容・特徴
  • 日本全土に分布するナミヒメハナカメムシ(ナミ)、ツヤヒメハナカメムシ(ツヤ)、コヒメハナカメムシ(コヒメ)に加え、関東以南に分布するタイリクヒメハナカメムシ(タイリク)、琉球列島以南にのみ分布するミナミヒメハナカメムシ(ミナミ)を識別の対象とする。
  • rDNA(リボゾームRNA遺伝子)中の非コード領域であるITS1(Internal Transcribed Spacer 1)をPCRで増幅後、塩基配列を解読し、塩基長と配列を比較する。
  • 塩基長は、コヒメは明らかに多種より長く、ミナミは短いため、PCRによる増幅のみで識別可能と考えられる(図1)。
  • 他の3種を識別には、それぞれに特異的な配列を探索し、異なる増幅断片長を得られるように設計されたプライマーを用いる(図1)。
  • 識別のためのDNA抽出は以下の方法で行う。すなわち、テストチューブ内でヒメハナカメムシの虫体を1個体ずつ、PrepManTM Ultra Reagent(アプライドバイオシステムズ社)100μLとともに磨砕し、100℃で10分間加熱後、室温に2分間放置し、16,000xGで3分間遠心し、その上清をPCRに用いる。その結果、15~20分という短時間でサンプルの調整が可能になり、大量の個体数を扱うことができる。
  • 新たに設計したプライマーを加えた5種類のプライマーを混合して用いてPCRを行ったところ、5種の識別が容易にできた。また、餌となるミナミキイロアザミウマ、カンザワハダニ、スジコナマダラメイガ卵も同様にPCRを行ったが、これらの害虫・餌種ではDNAの増幅は見られず、得られたバンドはヒメハナカメムシ類由来であると確認された。ナミ6系統、タイリク3系統、ツヤ2系統、コヒメ3系統、ミナミ1系統を用いた結果、種内で一貫した結果が得られ、識別手法として有効であることが示された(図2)。
  • 成果の活用面・留意点
      DNA多型を利用して、日本に分布するヒメハナカメムシ類の種の識別が性別、ステージを問わず簡便に行えるようになったため、野外での分布調査や害虫密度抑制に対する効果を容易に進められると考えられる。
    予算区分交付金
    研究期間2001~2004
    研究担当者清水徹、川崎建次郎、村路雅彦、日本典秀、野田隆志
    発表論文成果は学会誌等に公表予定。
    発行年度2001
    収録データベース研究成果情報

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