放線菌キシラナーゼのX線結晶構造解析

放線菌キシラナーゼのX線結晶構造解析

タイトル放線菌キシラナーゼのX線結晶構造解析
要約 放線菌のキシラナーゼは、触媒ドメインと基質結合ドメインからなる酵素であり、両者が存在することにより効率的に不溶性キシランの分解を行う。本酵素の基質結合及び、酵素反応機構をX線結晶解析により解明した。
キーワードX線結晶解析、キシラナーゼ、キシラン、基質結合ドメイン
担当機関(独)農業生物資源研究所 生体高分子研究グループ 蛋白機能研究チーム
連絡先029-838-7014
区分(部会名)生物資源
分類技術開発、知的貢献
背景・ねらいキシラナーゼは植物細胞壁の主成分であるキシランを加水分解する酵素である。放線菌 Streptomyces olivaceoviridis E-86 株の生産するキシラナーゼは、触媒ドメインと基質結合ドメインからなる酵素であり、可溶性キシランに対しては基質結合ドメインの有無にかかわらず触媒ドメインに同等の加水分解能が存在するが、不溶性キシランに対しての分解活性は基質結合ドメインが存在する場合、基質結合ドメインが存在しない場合の2倍以上であることから、2つのドメインが存在することにより効率的に不溶性キシランの分解を行っていることが明らかとなっている。そこで、本酵素の基質結合機構及び、酵素反応機構を明らかにする目的でX線結晶構造解析を行った。
成果の内容・特徴
  1. 放線菌キシラナーゼの結晶化条件を確立し、良質の結晶を得ることに成功した。
  2. 放線菌キシラナーゼのX線結晶解析を行い、1.9Å分解能での構造解析に成功した。
  3. 放線菌キシラナーゼは、TIM-バレルからなる触媒ドメインと、リシンスーパーファミリーに属するガラクトース結合レクチン様構造からなる基質結合ドメインから成り立っており、両者の間は構造上高い自由度を持つリンカー部分で連結されていた(図1)。
  4. 放線菌キシラナーゼと各種キシロオリゴ糖との複合体のX線結晶解析を行い、触媒ドメイン及び、基質結合ドメインのキシラン結合機構を明らかにした(図2、図3)。
  5. 基質結合ドメインは相同性のある分子内3回繰り返し配列を有しており、3カ所でキシランに対する結合能を有していることが明らかとなった。また、同じ結合部位でガラクトースにも結合することが明らかとなったが、キシランに対する結合様式とは異なっていた。
成果の活用面・留意点
  1. 本酵素の立体構造情報が得られたことにより、分子設計による高機能、高効率酵素の開発が可能となり、食品産業、製紙産業への応用が期待される。
  2. 基質複合体の解析を行ったことにより、キシラナーゼのキシロオリゴ糖結合機構、ガラクトース結合機構が明らかとなり、詳細な蛋白質-オリゴ糖結合機構、及び酵素反応機構の解明につながると考えられる。
予算区分交付金、委プロ・プロテオーム
研究期間1997~2002
研究担当者金子哲、小林秀行、水野洋、藤本瑞
発表論文1)Fujimoto Z, Mizuno H, Kuno A, Yoshida S, Kobayashi H, Kusakabe I
(1997)Crystallization and preliminary X-ray crystallographic study of Streptomyces olivaceoviridis E-86 β-xylanase. J. Biochem., 121, 826-828
2)Fujimoto Z, Kuno A, Kaneko S, Yoshida S, Kobayashi H, Kusakabe I, Mizuno H(2000)Crystal structure of Streptomyces olivaceoviridis E-86 β-xylanase containing xylan-binding domain. J. Mol. Biol.,
300, 575-585
3)Fujimoto Z, Kuno A, Kaneko S, Kobayashi H, Kusakabe I, Mizuno H
(2002)Crystal structures of the sugar complexes of Streptomyces olivaceoviridis E-86 xylanase: Sugar binding structure of the family 13 carbohydrate binding module. J. Mol. Biol., 316, 65-78
発行年度2002
収録データベース研究成果情報

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