ホーネットシルクの精製と成型法

ホーネットシルクの精製と成型法

タイトルホーネットシルクの精製と成型法
要約 スズメバチの巣の内部に存在する繭(ホーネットシルク)を昆虫由来新素材候補として検討するため、繭タンパク質を抽出精製し、粉末状の精製ホーネットシルクを得た。さらにこの粉末状の精製ホーネットシルクがハロゲン化有機溶媒に可溶であることを見出し、フィルム、スポンジ、繊維などの形状に成型する方法を確立した。
キーワードホーネットシルク、昆虫新素材、精製法の確立、成型法の確立
担当機関(独)農業生物資源研究所 昆虫新素材開発研究グループ 素材開発研究チーム
連絡先029-838-6213
区分(部会名)生物資源
分類技術開発
背景・ねらいスズメバチ類は、幼虫から蛹になる過程でタンパク質の糸を吐いて繭(ホーネットシルク)を作るが、このホーネットシルクを有用生体素材として利用しようとする試みは未だなかった。本研究では、ホーネットシルクの昆虫生体高分子由来の新素材としての有用性を検討するため、キイロスズメバチの巣からホーネットシルクを抽出・精製し、素材として利用できる形状に成型する方法の確立を試みた。
成果の内容・特徴
  1. ホーネットシルクは25℃に調製したLiBr水溶液(7.2mol/l 以上の濃度)中で攪拌すると、15分程度で溶解することがわかった(図1)。また、この塩溶液に15分以内で溶解した時には、分子鎖の切断は起こらず、LiBr水溶液がホーネットシルクの溶媒として有効であった。
  2. ホーネットシルクは、LiBr水溶液に可溶であるが、木くず等の植物繊維でできている巣盤は不溶であった。このような溶解性の違いを利用して、ホーネットシルクのみを高収率で抽出し、粉末状の精製ホーネットシルクを得る技術を確立した(図2)。
  3. 粉末状の精製ホーネットシルクはヘキサフルオロ-イソ-プロパノール(HFIP)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジクロロ酢酸(DCA)等のハロゲン化有機溶媒に可溶であったが、唯一、HFIPではほとんど分子鎖切断が起こりにくいことが分かり、HFIPがホーネットシルクの溶媒として有効であることを明らかにした。
  4. HFIP溶液とした精製ホーネットシルクからフィルム、および繊維(モノフィラメント)に加工する技術を開発した。また、ホーネットシルクの水中における自己凝集性を利用してスポンジ状多孔質体の作出に成功した(図3)。

図1

図2

図3
成果の活用面・留意点ホーネットシルクはアミノ酸組成、高次構造などにおいて、カイコ絹フィブロインやセリシンおよびスパイダーシルクとは異なる可能性があり、新たな機能も有していると推察される。今後は、生体医療用向け素材としての利用を見据えた細胞との親和性試験、熱や光に対する電気応答性などホーネットシルク特有の機能性について調査する。
具体的データ
図表
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予算区分受託研究費(昆虫テクノロジー)
研究期間2003~2006
研究担当者亀田恒徳、宮澤光博
発表論文2)Tsunenori Kameda, Proceedings of the 5th China International Silk Conference, 665-666(2004).
3)Tsunenori Kameda, Journal of Insect Science, 4, 1-5(2004).
特許出願(公開)1)亀田恒徳、宮澤光博,津田英利,藤原誠太“ハチの巣に含まれる繊維状タンパク質の抽出方法、及びその薄膜化方法”出願特許,特願 2004-225153(2004).
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

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