イネタンパク質の立体構造解析

イネタンパク質の立体構造解析

タイトルイネタンパク質の立体構造解析
要約 イネゲノムプロジェクトによって得られた遺伝子情報や完全長cDNA等を活用し、学術上または農業・産業上の重要性が想定される22種のタンパク質及びタンパク質複合体の立体構造をX線結晶回折法や溶液NMR法により決定し、立体構造に基づいて分子機能を解析した。
キーワード構造プロテオミクス、イネタンパク質、X線結晶解析、NMR、立体構造
担当機関(独)農業生物資源研究所 生体高分子研究グループ 超分子機能研究チーム
連絡先029-838-7900
区分(部会名)生物資源
分類知的貢献
背景・ねらいイネゲノム研究は、ゲノム解読プロジェクトにより蓄積された膨大な量の塩基配列を基に遺伝子産物であるタンパク質の分子機能から個体の表現型までを解析・理解し、農学・バイオテクノロジーへ応用する方向へと発展しつつある。本研究では、イネ完全長cDNA等を活用して大量発現したタンパク質の立体構造をX線結晶回折法や溶液NMR法により解析し、立体構造と分子機能・表現型の相関を解明することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 植物生命科学および農業・産業において重要な機能ネットワークの中枢を担うと想定されるイネタンパク質を中心に選定した81種のタンパク質について一次構造の相同性検索や二次構造予測などを行い、134種のタンパク質及びタンパク質ドメインについて発現・精製法を検討した。
  2. 3種類の高発現・高可溶性の新規Gateway対応ベクターを開発し、立体構造解析に必要な高純度タンパク質を効率的に調製するシステムを構築した。
  3. 3年間で発現・精製法の確立した32種のタンパク質及びタンパク質複合体について結晶化条件の最適化を行い、14種のタンパク質のX線結晶構造を決定した(表1)。さらに、17のタンパク質及びタンパク質複合体についてNMR解析を行い、8種のタンパク質のNMR溶液構造を決定した(表1)。
  4. X線結晶解析に適した良質のタンパク質結晶の成長に有効なレーザー核発生法や溶液攪拌法など新しい結晶化法を考案した。
  5. 赤色光受容体PhyAのPAS1相当領域OsPhyA(S601-H740)のNMR溶液構造に基づいて既報の光シグナル伝達機能欠損型ミスセンス変異について検討した結果、この領域が下流のPhyA結合因子との相互作用に重要な役割を担うと推定された(図1)。PhyBについても同様の結果が得られたが、PhyAとPhyBでは光シグナルの効率的な伝達に必須な二量体の形成機構に相違があることが明らかになった。
  6. PhyのC末端ドメインと相互作用するOsAGPRとOsNDPK2のX線結晶構造を決定し、前者は四量体を後者は六量体(環状三量体が2つ重なった環状複合体)を形成していることを明らかにした(図2)。
  7. Rubiscoの酵素反応の各ステップに対応する活性制御因子結合型及びアポ型タンパク質の立体構造を決定し、酵素反応メカニズムを詳細に解析した。

表1

図1

図2
成果の活用面・留意点
  1. 機能的に重要なタンパク質の構造解析を行い立体構造と分子機能の相関を検討した。これらの結果を基に生理・生化学的機能の解明が進み、最終的には個体レベルでの人為的機能制御を可能にする合目的な遺伝子・タンパク質のデザインに繋がるものと期待される。
  2. 新規に開発した高発現・高可溶性Gateway対応ベクターと良質のタンパク質結晶の成長に有効な新規結晶化法は今後のタンパク質科学研究に汎用されるものと期待される。
具体的データ
図表
図表
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予算区分プロテオミクス
研究期間2002~2004
研究担当者加藤悦子、甲斐泰(阪大)、三上文三(京大)、三木邦夫(京大)、山崎俊正、山縣ゆり子(熊大)、児嶋長次郎(奈良先端大)、若生俊行、小椋賢治(北大)、水口峰之(富山医薬大)、田中信夫(東工大)、藤本瑞、門間充、野中孝昌(長岡技科大)、鈴木倫太郎
発表論文1)Kobayashi T, Mishima M, Akagi K, Sakai N, Katoh E, Takano M, Yamazaki T, and Kojima C,(2005)1H, 15N and 13C backbone and side-chain assignments of the rice phytochrome B PAS1 domain and backbone assignments of the PAS1-PAS2 domain. J. Biomol. NMR in press.
2)山崎俊正,Reay P,鈴木倫太郎,酒井伸也,加藤悦子,高野誠
(2004)第43回NMR討論会
特許出願(公開)3)野中剛,吉田昭子,酒井伸也,加藤悦子,稲垣言要,山崎俊正,三木邦夫(2004)日本結晶学会その他:原著論文13報,総説2報,学会発表38件,特許 2件
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

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