カイコ由来の培養細胞を用いた高機能な無血清培養システム

カイコ由来の培養細胞を用いた高機能な無血清培養システム

タイトルカイコ由来の培養細胞を用いた高機能な無血清培養システム
要約カイコ胚子から無血清培地で培養できる細胞株を作出するとともに細胞増殖能ならびにカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)組換えウイルスの発現能に優れた無血清培地を開発した。この細胞株は浮遊性という性状をもつことから大量培養が可能で、物質生産に適している。また、熱処理したカイコ体液をウイルス接種時に培地に添加することにより、組換え遺伝子の発現が高まるので、組換えタンパク質の大量産生が期待できる。
キーワード
昆虫、カイコ、培養細胞株、無血清培地、バキュロウイルス発現系
担当機関(独)農業生物資源研究所 昆虫生産工学研究グループ 昆虫細胞工学研究チーム
連絡先029-838-6100
区分(部会名)生物資源
分類技術開発、生物産業
背景・ねらい昆虫細胞培養系を用いる有用タンパク質の発現系は、これまで牛胎児血清(FBS)等を含有しない無血清培地で培養できる Spodoptera frugiperda 由来のSf細胞系や Trichoplusia ni 由来のHighFive細胞系が使われてきた。一方、カイコのバキュロウイルス発現系に利用できる無血清・高発現のカイコ培養細胞系はなかった。今回、Spodoptera frugiperda 細胞系に対応して、有用物質の大量生産ができるカイコ由来の新しい培養細胞系の開発を試みた。
成果の内容・特徴
  1. カイコの胚子組織から倍加時間は従来のカイコ培養細胞株に比較して短く、また、浮遊性のため撹拌方式による大量培養に適している培養細胞株(名称:NIAS-Bm-Ke1)を作出した。本細胞株にBmNPVを感染させる際、カイコの熱処理体液を培地に添加することにより、感染とウイルス多角体の形成を大きく向上させることができた(第1図)。
  2. 本細胞株の効率的な無血清培養を可能にするために新たに開発した無血清培地(名称:KBM700)は、これまでの無血清培地(MMSF培地)に比較して細胞の増殖ならびにBmNPVの感染に優れていた。
  3. カイコ熱処理体液を添加したMMSF培地で培養した本細胞株の遺伝子発現をSf細胞系と比較したところ、無血清培養およびFBSを添加したSf細胞系よりも高かった(第2図)。
  4. 撹拌培養方式において遺伝子産物を大量に発現させるため、培地に添加するカイコ熱処理体液の添加割合を検討したところ、3%濃度は1%濃度よりもルシフェラーゼ発現を大きく高めることができた(第3図)。
  5. 以上の結果から、今回新たに作出したカイコ培養細胞系はカイコバキュロウイルス発現系における有用タンパク質の大量発現系へ利活用できるものと期待される。
成果の活用面・留意点
  1. 無血清培地で培養できるNIAS-Bm-Ke1細胞株とKBM-700培地からなる培養システムは現在特許出願中である。
  2. 本培養システムを用いた有用タンパク質生産高は将来Sf細胞系、HighFive細胞系等のAcMNPVをベクターとするバキュロウイルス発現系を凌ぐものと期待され、早期な市場進出が要望されている。
具体的データ
図表
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予算区分(交付金研究)
研究期間2001~2005
研究担当者今西重雄、秋月 岳(生物研)、吉田芳哉、楊 春英(コージンバイオ社)
発表論文
  • Imanishi,S., Yang,C., Kitamura,H., and Akiduki, G.(2005)Abstruct of 5th Asia-Pacific Congress of Entomology,Insects, Nature, and Humans.
  • 特許出願(公開)
    1. 国内特許申請;特願2005-196434
    特許出願(公開)
  • 国際特許取得、米国No.6,943,023
  • 発行年度2005
    収録データベース研究成果情報

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