コムギのふ色遺伝子Rg1は低分子量グルテニン・サブユニットのGlu-B3座の遺伝子型の簡易圃場選抜マーカーとして利用できる

コムギのふ色遺伝子Rg1は低分子量グルテニン・サブユニットのGlu-B3座の遺伝子型の簡易圃場選抜マーカーとして利用できる

タイトルコムギのふ色遺伝子Rg1は低分子量グルテニン・サブユニットのGlu-B3座の遺伝子型の簡易圃場選抜マーカーとして利用できる
要約小麦の生地物性に寄与するとされる低分子量グルテニン・サブユニットのGlu-B3 座は、ふ色遺伝子Rg1 と強く連鎖しており、Rg1 をGlu-B3 座の遺伝子型選抜マーカーとして使用することができる。これによりほ場で簡易かつ高精度にGlu-B3 座の遺伝子型の選抜が可能となる。
キーワードコムギ、生地物性、低分子量グルテニン・サブユニット、ふ色、マーカー
担当機関愛知農総試 作物研究部 小麦育種指定試験地
連絡先0561-62-0085 / kfujii@abl-agri-rc.pref.aichi.jp / kfujii@abl-agri-rc.pref.aichi.jp
区分(部会名)関東東海北陸農業
区分(部会名)作物
分類研究、参考
背景・ねらい 小麦の貯蔵蛋白質であるグルテニンの遺伝子型は生地物性に大きく影響する。グルテニンのうち、低分子量グルテニン・サブユニット(LMW-GS)の遺伝子座の一つで1B染色体短腕に座乗するGlu-B3座がg型のものは生地が強くGlu-B3g遺伝子がめんの食感の改良に寄与している可能性が報告されている(Ikeda et al. 2005)。この遺伝子型を判別できるDNAマーカーが開発され(D'Ovidio et al. 1997、Maruyama-Funatsuki et al. 2005、Ikeda et al. 2006)、日本品種のGlu-B3座の遺伝子型が明らかにされている(池田ら 2005)。本研究では、Glu-B3座の遺伝子型を立毛で簡易にかつ高い精度で判別できる形質マーカーを選定する。

成果の内容・特徴
  1. LMW-GS遺伝子Glu-B3gを持つ育成品種(タイプ1、タイプ2、タイプ3)のうち、両親のふ色とGlu-B3座の遺伝子型が共に異なっている場合(タイプ1、タイプ2)、育成品種のふ色はGlu-B3gを持つ片親のふ色と同じである(表1)。
  2. (白ふ:Glu-B3g)品種と(褐ぷ:Glu-B3i)品種との2組合せの派生系統のうち、白ふ系統のほとんどはGlu-B3g 型であるが、褐ぷ固定系統ではほとんどがGlu-B3i型である。ふ色が分離している系統のほとんどはGlu-B3座も分離する。このようにふ色とGlu-B3座の遺伝子型との強い共分離が認められる(図1)。
  3. (白ふ:Glu-B3j )品種と(褐ぷ:Glu-B3i )品種との組合せの派生系統でも同様にふ色とGlu-B3座の遺伝子型との強い共分離が認められる(図2)。
  4. ふ色を支配する遺伝子は、1A、1B、1D染色体に座乗するBg、Rg1、Rg2 が知られている。Glu-B3座は1BSに座乗することから、Glu-B3座と強く連鎖しているこのふ色遺伝子は1Bに座乗するRg1 と考えられる。
  5. 以上から、LMW-GSの改良育種にふ色遺伝子Rg1をGlu-B3座の遺伝子型の選抜マーカーとして利用できる。
  6. この方法では、煩雑なDNA抽出やPCR操作、蛋白質の解析をしなくても、育種圃場でふ色を観察することにより、簡易かつ高精度に育成個体/系統のGlu-B3座の遺伝子型の選抜が可能である。

成果の活用面・留意点
  1. 本法は両親のふ色とGlu-B3座の遺伝子型が共に異なる組合せでふ色がRg1により発現している場合に適用できる。
  2. Glu-B3座とRg1との組換価は現在解析中である。デュラム小麦(T.durum)ではGlu-B3座とRg1座は1.6cMの距離にあることが報告されている(Blanco et al. 1998)。
具体的データ
表1.LMW-GS遺伝子Glu-B3gをもつ育成品種のふ色と両親品種のGlu-B3座の遺伝子型および不色
図1.ふ色及びGlu-B3 座の遺伝子型を異にする組合せ後代の小麦F4派生系統における両形質の共分離((褐ぷ:i 型)/(白ふ:g 型)、n=147系統及びn=64系統)
図2.ふ色及びGlu-B3座の遺伝子型を異にする組合せ後代の小麦F4派生系統における両形質の共分離((白ふ:j 型)/(褐ぷ:i 型)、n=97系統)
予算区分指定試験
研究期間2005~2006
研究担当者藤井潔、辻孝子、吉田朋史、船附稚子(北農研)、池田達哉(近中四農研)
発行年度2006
収録データベース研究成果情報

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