「昆虫工場」廃棄物としてのカイコ幼虫死骸の処理装置

「昆虫工場」廃棄物としてのカイコ幼虫死骸の処理装置

タイトル「昆虫工場」廃棄物としてのカイコ幼虫死骸の処理装置
要約「昆虫工場」から廃棄物として出るカイコ幼虫死骸を滅菌処理した後、温風乾燥式により処理する装置を考案した。この装置によって、カイコ幼虫死骸はクチクラ、絹糸腺、その他残渣粉末に分別され、その回収率はクチクラ24%、絹糸腺19%であった。
担当機関蚕糸・昆虫農業技術研究所 機能開発部 高分子素材利用研究室
連絡先0298-38-6172
区分(部会名)蚕糸・昆虫機能
専門昆虫機能
研究対象昆虫類
分類研究
背景・ねらいカイコを用いた有用物質生産系(「昆虫工場」)において、有用物質を含む体液を採取した後のカイコ幼虫死骸は廃棄物として処理されるが、クチクラの主成分であるキチンや絹糸腺内の絹タンパク質などバイオマテリアルの原材料が大量に含まれている。そのため、カイコ幼虫死骸から、クチクラと絹糸腺を分別回収する技術を開発し、資源として再利用を図る。
成果の内容・特徴
  1. 温風乾燥方式による昆虫工場廃棄物処理装置の設計を行い、組み立てた(図1 A, B, C)。試作装置の性能を調べた結果、以下の機能が確認できた。
    (1)カイコ幼虫死骸からの水蒸気は熱風の循環作用によって効率よく排出されるので、熱交換効率は高い。
    (2)撹拌刃は3 ㎏の廃棄物を負荷させた場合でも30rpmの低速で回転できるので、刃によるクチクラ、絹糸腺の粉砕を抑えられ、乾燥処理後の選別を可能にする。
  2. 昆虫工場から回収したウイルス不活化カイコ幼虫死骸1 千頭(図2 A)の処理に適用したところ、カイコ幼虫死骸は乾燥固形物に変換され(図2 B)、固形物はクチクラ、絹糸腺、残渣粉末に選別できた(図3)。内訳は、クチクラ24%、絹糸腺19%であった。この結果、昆虫工場におけるカイコ2 万頭規模の廃棄物からは、約3.3㎏の乾燥クチクラと約2.5㎏の絹糸腺を選別回収できることになる。
  3. カイコが摂取した人工飼料には抗生物質が含まれている。しかし、バキュロウイルス感染蚕のオートクレーブによる滅菌は、大量の廃棄物全体が滅菌されるよう、121℃60分に設定して行っているので、乾燥処理後のクチクラ、絹糸腺、残渣粉末には抗生物質は残らず、バイオマテリアルの材料として使用しても安全である。
成果の活用面・留意点
    昆虫工場廃棄物処理装置を用いて、滅菌したカイコ幼虫死骸を乾燥処理すれば、クチクラ、絹糸腺、粉末に選別できるが、乾燥処理条件が変わると形状も異なるため、処理条件の最適化が必要である。
具体的データ
図1 A, B, C
図2 A
図3
予算区分バイテク等先端技術
研究期間2000~2001
研究担当者羽賀篤信
発表論文1 )学術雑誌等羽賀篤信,張 敏(2000):有用物質大量生産システム(昆虫工場)から廃棄物として出るカイコ幼虫死骸の有効利用.第11回廃棄物学会研究発表会講演論文集Ⅰ,371-373.羽賀篤信(2001):昆虫キチン研究の現状と利用可能性.Techno Innovation(STAFF),Vol.11,No.1,21-26.
2 )口頭発表羽賀篤信,張 敏(2000):昆虫工場廃棄物からのクチクラと絹糸腺の回収及びその利用.日蚕講要,70,52.その他2 件
発行年度2000
収録データベース研究成果情報

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