パイプラインの水撃圧予測と適正バルブ操作方法

パイプラインの水撃圧予測と適正バルブ操作方法

タイトルパイプラインの水撃圧予測と適正バルブ操作方法
要約パイプライン水撃圧解析のため、現地パイプラインの試験結果と良好に一致する非定常流数値モデルを開発した。本モデルは弾性水柱理論に基づく基礎方程式を数値積分するものである。本モデルを利用して、分水工バルブの操作時間と水撃圧の関係を予測し、既設パイプラインに悪影響を及ぼさない適正な分水工バルブ操作手法の開発を行った。
担当機関農業工学研究所 水工部 水路工水理研究室
連絡先0298-38
区分(部会名)農業工学
専門基幹施設
研究対象農業工学
分類行政
背景・ねらい パイプラインシステムでは、バルブ等の操作に伴って、必ず水撃圧が発生する。この水撃圧の大きさは水流の時間的変化量の大きさ、即ち、操作速度に影響される。大口径バルブ等重要施設ではー般にモータ駆動なので、計画以上の速度で操作されることは少ない。これに対して 中小口径のバルブでは人力操作の上、近年では操作性の優れた(軽くて手早く開閉ができる)ものが採用される。このため、短時間で操作され設計では予測しなかった水撃圧が発生することもある。
本研究では、安全にパイプラインを管理するため、バルブ繰作に伴って発生する水撃圧を予測するための非定常流数値モデルを開発し、適正な操作方法の開発を行う。
成果の内容・特徴
    本研究では霞ヶ浦用水真壁幹線系パイプラインを対象に、現地において水撃圧試験を行い、圧力変化を測定した(図1)。これと同時に弾性水柱理論に基づく基礎方程式を直接差分法で数値積分を行う数値モデルを構築した。現地パイプライン上流端には、推定末端圧制御のポンプが設置されているが、時間要素を含んだアルゴリズムが得られなかったため、試行錯誤でアルゴリズムを推定し、モデルに組み込んだ。また、水撃圧の減衰傾向が現地試験と合致しなかったため、層流域における摩擦損失係数を大きくするなどの改良を行い、現地試験結果と良好に合致するモデルを開発した(図2)、(図3)。次に、このモデルを用いて種々のバルブ操作に伴う水撃圧についてシミュレーションを行い、適正な操作手法の開発を行った。
     具体的内容は次のとおりである。
  1. 真壁幹線系パイプライン(管径1.2~0.7m)、観音川分水工(口径0.3m)、莫大分水工(同0.25m)等8ヶ所に圧力計を設置して、条件の異なる10通りの水撃圧を発生させ、圧力変動を記録した。
  2. 両分水工のバルブは、人力操作の定流量弁であり、5秒間で全閉可能である。この時間で観音川分水工を閉鎖したところ約6kgf/cm2の圧力が発生した。設計では、水撃圧の予測はバルブがいわゆる緩閉鎖されることを想定し、構造設計が行われる。
     観音川分水工地点での急閉鎖と緩閉鎖との境界は27秒であり、前記の5秒は急閉鎖の範囲に入っている。
  3. 観音川分水工までの支線1.4Km区間は耐水圧強度の目安が6kgf/cm2である硬質塩化ビニル管(VU)が使用されている。以上のことより、バルブ操作を行うたびに耐水圧強度に近い水撃圧が発生することは管理上問題である。
  4. 先述したモデルを使用して、観音川分水工のバルブ閉鎖時間を0~60秒の間で種々変化させてシュミュレーションを行った。閉鎖時間が10秒までは水撃圧の減少は小さいが、それより長い閉鎖時間になると急激に水撃圧は減少し、30秒では3.6kgf/cm2まで減小する。この結果を考慮して、電動モータを採用しバルブ閉鎖時間が30秒となるよう構造を変更した(図4参照)。
  5. 本研究をとおして、現地のパイプラインシステムの非定常水理現象を良好に再現できるシミュレーションを開発できた。このモデルを使用して、バルブ操作時間により異なる水撃圧を予測し、安全且つ現実に則した適正なバルブ操作方法を開発することができた。
成果の活用面・留意点〔成果の活用面・留意点]
パイプラインで発生する水撃圧は、パイプライン事故の大きな原因の一つである。これを回避するため、設計時には、管理時に想定されるバルブ操作を考慮してパイプの構造設計を行うとともに、想定したバルブ操作を実現するための手段(例えば電動モータ駆動、ギヤ比を大きくとる)も講じる必要がある。また管理者に、設計条件の周知徹底を図ることも必要である。
具体的データ
(図1)
(図2)
(図3)
(図4参照)
予算区分経常・依頼・受託
研究期間1996~1996
研究担当者 吉野秀雄、栗田吉晴
発表論文栗田吉晴ほか:パイプラインにおける水撃圧現地試験結果―霞ヶ浦用水農業水利事業真壁幹線の事例―, 農工研技報193, pp.11~30(1996)栗田吉晴ほか:パイプラインにおける水撃圧についてー霞ヶ浦用水農業水利事業真壁幹線の事例―, 農工研技報195, pp.1~24(1997)
発行年度1996
収録データベース研究成果情報

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