バイオガスプラントにおける効率的なメタンガス産出と脱硫

バイオガスプラントにおける効率的なメタンガス産出と脱硫

タイトルバイオガスプラントにおける効率的なメタンガス産出と脱硫
要約乳牛ふん尿スラリーを主原料とするバイオガスプラントで廃用牛乳等を副資材として利用するとメタンガス発生量は増加する。生物脱硫と酸化鉄脱硫の併用はイオウ資源循環と脱硫経費の削減(約75%低下)のために望ましい。
キーワード
バイオガスプラント、メタン発酵、固形糞尿、副資材、食品廃棄物、脱硫
担当機関農業土木研究室
北海道開土研 農業開発部 土壌保全研究室
連絡先011-841-1754 / dojyo@ceri.go.jp / dojyo@ceri.go.jp
区分(部会名)農業工学
区分(部会名)北海道農業
分類技術、普及
背景・ねらい家畜糞尿の処理とカーボンニュートラルなエネルギー産出をするバイオガスプラントで効率的にエネルギーを産出するためにはメタンガス発生量の増加とバイオガス中の硫化水素の効率的除去が必要である。そこで、別海及び湧別の実証試験施設及び室内実験用発酵装置を用いて、地域で発生する有機性廃棄物を副資材とする時のメタンガス発生量の増加効果と効率的な脱硫法を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 積雪寒冷な北海道においてもスラリー状糞尿、固液分離後の液分(スラリー)および尿溜め液を原料とし、原料投入や消化液の排出に支障がない構造のバイオガスプラントであれば、連続的な原料投入と所定温度の維持によりメタン発酵は順調に進行し、投入スラリー1t当たりのメタンガス発生量は15~18m3である(図1)。
  2. 室内試験で食品廃棄物の副資材としてのメタンガス産出効果はその組成により異なり(図2)、有機物当たりのメタンガス発生量は糞尿:0.23m3/kg、牛乳:0.82m3/kg、パター:0.89m3/kg、パン粉:0.87m3/kgである。バイオガスの発生量が大きく低下する投入限界量(全投入量に対する副資材量の割合)はバターで10%,パン粉で12%,蛋白質(プロテイン)で8%であり、N分の多い有機物で限界量が少なく、副資材の利用にあたっては注意を要する。
  3. 湧別の200頭規模の施設において、廃牛乳や給食残滓を副資材として投入すると、原料投入量当たりのメタンガス発生量は1.3~1.4倍に増加する(図3)。
  4. 生物脱硫(湿式ガスホルダー)と酸化鉄脱硫が直列に配置される別海施設では、脱硫後のバイオガス中の硫化水素濃度は数mL/kL以下である。ガスホルダー兼用の生物脱硫装置での脱硫効果はガス流入口と近接していたガス流出口を対向位置に移動した後、空気注入率5~8%で脱硫効率の改善が認められるが安定していない。担体式生物脱硫装置では38℃に温度を保持し、空気注入率5~8%で約85%の安定した生物脱硫率が得られる。
  5. 脱硫経費は、充分機能する生物脱硫施設を併設する方が酸化鉄脱硫単独の場合よりも安価であると試算される(表1)。前者の脱硫法ではイオウ資源の循環がなされる事もあり、生物脱硫の併用が望ましい。
成果の活用面・留意点
  1. バイオガスプラントの新規導入を計画あるいは検討する場合、既設のバイオガスプラントで効率的なバイオガス産出や脱硫法を検討する場合に、本成果は有効である。
  2. 副資材の利用にあたっては重金属などの有害物質を含有しないことを確認するとともに、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」や施設建設の補助事業制度等の関係法令の適用に留意して使用する必要がある。
  3. 長藁入り、固液分離後、及び裁断藁入りの固形糞尿をバイオガスプラントの受入槽に投入し原料とするには、受入槽での固形糞尿塊の破砕・分散に多大の時間・労力・機械力を要する。不充分な場合にはポンプ等の閉塞を招くため、固形糞尿をバイオガスプラントの原料として直接利用することは実用的ではない。

平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分

「バイオガスプラントにおけるメタンガスの効率的な産出手法」(指導参考)
具体的データ
図表
図表
図表
図表
予算区分特別研究
研究期間2000~2004
研究担当者石田哲也、栗田啓太郎、石渡輝夫、大日方裕、大深正徳、中山博敬、中村和正、中久保亮(北大院)、松田従三(北大院)、大原孝彦(大成建設)、館山留男(株ドーコン)
発表論文
  1. 石田,日本畜産環境学会会誌, 3(1), 26, 2004.

  2. 石渡ら,農業土木学会大会講演会講演要旨集, 682-683, 2004.

  3. 大原ら,農業土木学会資源循環研究部会発表要旨集, 21-29, 2004.

  4. 大日方ら,農業土木学会北海道支部研究発表会講演集, 134-137, 2004
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat