畑地の地表面管理の違いが水資源涵養量へ及ぼす影響

畑地の地表面管理の違いが水資源涵養量へ及ぼす影響

タイトル畑地の地表面管理の違いが水資源涵養量へ及ぼす影響
要約多雨地帯の緩傾斜畑地圃場では、年間を通じた流出率が、裸地圃場で3~24%であるのに対して、マルチ被覆区では45%と高かった。管理の違いによる浸透能の差は長期間継続するため、畑地の水資源涵養量の保全には地表面の管理が重要である。
キーワード
流出率、浸透能、水資源涵養量
担当機関(独)農業工学研究所 地域資源部 水文水資源研究室
連絡先029-838-7538 / tomi@affrc.go.jp / tomi@affrc.go.jp
区分(部会名)農業工学
分類普及
背景・ねらい流域水循環系の健全性が求められる中で、施設園芸やプラスチックマルチなどの普及等による畑地の流出特性の変化に伴い、畑地の機能低下が懸念される。一方、これまで畑地帯の圃場管理が、地下水涵養能や洪水緩和機能にどのような影響を及ぼすかといった観点からの研究はあまり見られなかった。そこで、耕耘方法やマルチ被覆など人為的に制御可能な地表面の管理形態が水収支に与える影響について、圃場試験や数理モデルで検討した。
成果の内容・特徴
  1. 多雨地帯(鹿児島県鹿屋市、平均年降水量約2,600mm)の浸透性土壌を持つ畑地圃場(勾配0.9°、植生なし)における流出試験の結果、洪水時にHorton型地表流の発生が見られた。雨水保留量曲線では、管理の違いによる流出への影響を十分表せなかった。そのため、個々の流出波形の再現にφ-index法を適用し、その結果を用いて、積算降雨エネルギーの増加で浸透能が低下する改良型地表流出モデルを提案した(図1)。
  2. 圃場の浸透能は、図2に示すとおり、積算降雨エネルギーの増加に伴って減少した。この傾向は、マルチ被覆区で顕著であった。浸透能は全体的に減少傾向にあるものの、地表面管理の違いによる浸透能の差は長期間(試験では4ヶ月以上)継続した。
  3. (1)式を用いていくつかの条件(表1)で試算した結果、1年間の流出率が、裸地圃場で3(深耕区)~24%(鎮圧区)であるのに対して、マルチ被覆区では45%であった(表2)。また、水収支では、裸地圃場では、地下水涵養量が深耕区で1,650mm、標準区で1,490mmであるのに対して、マルチ被覆区では890mmとなり、地表面の管理方法の違いにより、畑地圃場の水収支に大きな差が見られた。
  4. マルチや鎮圧などにより浸透能が抑制されている圃場では、地表面の管理上の対策によって地下水涵養量が増加する余地が高い(図3)。特に、マルチ被覆区では、必要のない時期にマルチを除去することにより1年間の地下水涵養量を40%以上増加させることができる。
成果の活用面・留意点本成果は、硝酸態窒素溶脱量算定のための土壌浸透量の推定や畑地のかんがい水量、土壌保留量の算定および土壌浸食の防止に活用できる。
具体的データ
図表
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予算区分委託プロ(自然共生)
研究期間2002~2006
研究担当者久保田富次郎、増本隆夫、吉田武郎、田中正一*、古江広治*(*鹿児島農試)
発表論文
  1. 久保田富次郎・増本隆夫・吉田武郎・田中正一・古江広治, 営農管理の違いが畑地の水収支特性に及ぼす影響-無植生圃場の管理を対象として-, 農業工学研究所技法, 204, pp.129-144, 2006.

  2. 久保田富次郎・増本隆夫・吉田武郎・田中正一・古江広治, 地表面管理の違いが農地水文特性に及ぼす影響, 応用水文, 18, pp.57-66, 2005.
発行年度2005
収録データベース研究成果情報

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