室内実験によるタモロコの環境選好性の定式化

室内実験によるタモロコの環境選好性の定式化

タイトル室内実験によるタモロコの環境選好性の定式化
要約 農業水路の魚類の生息場評価、環境配慮工法の適正な設計に向けて、U迷路型水路による室内実験と正規化因子ウェイトを用いた乗法形選好強度式による解析から環境因子(流速、水深、遮蔽、植生)への選好強度の定式化及び因子間のウェイトを求めることができる。
キーワード選好強度式、U迷路型試験水路、タモロコ、農業排水路
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 農村環境部 生態工学研究室
連絡先029-838-7685 / shasa@affrc.go.jp / shasa@affrc.go.jp
区分(部会名)農村工学
区分(部会名)農業工学
分類技術、行政、参考
背景・ねらい 水田圃場整備に伴い水路系では、魚巣、ワンド、水田魚道など環境に配慮した整備技術が導入されるようになってきている。これら工法の導入にあたっては、魚類の生息場の選好性を考慮した設計、施工が望まれるが、現状では経験的な判断に基づいている場合が多く、選好性の定式化が求められている。魚類の選好性の求め方には、1.個人の経験や専門家の意見に基づく方法、2.現地調査による方法、3.実験による方法に分けられる。注目する環境因子の制御が可能な3.の室内実験による方法で、水田域に広くみられる魚種であるタモロコ(稚魚、成魚)を対象に検討した。
成果の内容・特徴
  1. 透明アクリル製の2本の水路が並列するU迷路型水路で実験を行った(図1)。ネットで仕切られた25cm区間を実験区間とし、下流端の5cm区間では魚が自由に移動できる構造となっている。水田地帯で採捕した体長1.5~2.0cmと4.0~5.0cmのタモロコを使用した(稚魚と成魚と呼ぶ)。
  2. 水路の主要環境因子である水深、流速、遮蔽、植生の4つについて検討した。片側水路の条件を一定(標準条件)とし、もう一方の水路の環境条件を種々かえ、試験区間に5個体を放流し、15分後から45分間の1分毎の左右水路の分布個体数を上部のネットワークカメラによる画像から計数した。環境因子を単独に変化させる単一因子実験と因子ウェイトを求めるための複合因子実験を行った(表1)。なお、同一条件で4反復の実験を行い、試験区間は、暗幕で覆い、水面の照度は1,600~1,800luxに調整した。
  3. 選好強度は、実験水路の魚の左右分布は各水路の選好強度の比によって決定されるものとした(式(1))。選好強度式に図2に示す選好強度のパターンを想定し、室内実験結果をもっとよく表現できる選好強度のパターンとそのパラメータ値を決定した。
  4. 稚魚、成魚とも、水深因子、流速因子、植生因子について、直線的に変化するType1またはType2、遮蔽因子については、離散的な因子条件ごとに定めるType4の選好強度式を得た。流速因子について、稚魚、成魚に違いが見られた(表2、図3)。
  5. 複合した環境因子による選好強度の表現には、式(2)の正規化因子ウェイトを導入した乗法形選好強度式を用いた。複合因子実験結果から因子間のウェイトが決定され、稚魚でW水深:W流速:W遮蔽:W植生=0.01 : 0.08 :1.0 : 0.797、成魚では、W水深:W流速:W遮蔽:W植生=0.34 : 1.0 : 0.46 : 0.70を得た。稚魚と成魚では、環境因子のウェイトに顕著な違いが見られた。
成果の活用面・留意点 実験装置の制約から、環境因子の実験条件範囲が限られている。これを超えるような条件では、選好強度の算定に注意が必要である。また、水温、餌資源、水質、底質など今回取り上げなかった因子についても定量評価し選好性モデルの精度を高める必要がある。
具体的データ
図-1 実験装置
数式
図2 選好強度式のパターン
表1 実験条件
表2 各因子の選好強度パターンと選好強度のパラメータ値
図3 実験結果と計算値の比較
予算区分交付金研究
研究期間2004~2005
研究担当者奥島修二、小出水規行、竹村武士、長利 洋
発表論文奥島修二・田中雄一・小出水規行・竹村武士、農業水路の生息場評価に向けたタモロコの環境選好性の定式化、農工研技報、206、pp.175-186奥島修二・田中雄一・長利 洋(2004)、生態保全型水路のための魚類(タモロコ)の環境選好性の解明、農土学会大会講演会、pp.574-575
発行年度2006
収録データベース研究成果情報

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