平成16年新潟県中越大震災における農村コミュニティ機能

平成16年新潟県中越大震災における農村コミュニティ機能

タイトル平成16年新潟県中越大震災における農村コミュニティ機能
要約 中越大震災では農村コミュニティが安全確認・確保機能、避難生活互助機能といった機能を果たしている。一方、ボランティアが農村コミュニティに受容されるためには、地域に入るタイミングとボランティアをコーディネートする仕組みが必要である。
キーワード中越大震災、コミュニティ機能、仮設住宅、ボランティア
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 農村計画部 地域計画研究室
連絡先029-838-7548
区分(部会名)農村工学
区分(部会名)農業工学
分類技術、行政、参考
背景・ねらい 平成16年新潟県中越大震災で被災した市町村では、阪神・淡路大震災における神戸市の場合と異なり、避難生活において農村コミュニティが大きな役割を果たしたと報道等で伝えられている。仮設住宅への入居はコミュニティ単位で行われたほか、多くの問題がコミュニティによって解決される一方、災害時に活躍するボランティアの受け入れのあり方も農村特有の問題が発生している。そこで、震災直後、避難所生活時、仮設住宅入居時において農村コミュニティが果たした機能を被災地自治体や住民への聞き取り調査等によって明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 災害時に発揮されたコミュニティ機能を時系列的に整理すると、地震発生直後には①安全確認・確保機能が発揮され、次に避難所に落ち着いた段階で②避難生活互助機能、③資源公平分配機能、④義務公平負担機能といった平常時にも見られる相互扶助的な機能が発揮され、仮設住宅に入居して復興に向かうときに⑤自律的合意形成機能が発揮され、どのステージにおいても⑥情報収集・共有機能が発揮されている(表1)。
  2. 小千谷市自治会長へのアンケート調査(2006年実施、有効回答66)の結果、70%の自治会が安全確認・確保機能を果たし、61%が情報収集・共有機能を果たしている(図1)。阪神・淡路大震災の神戸市では有効に機能した自治会は約3割というNIRA報告(1995)があり、これと比較しても中越大震災ではコミュニティが機能したといえる。
  3. 阪神・淡路大震災の神戸市では、仮設住宅の入居においてコミュニティのまとまりは配慮されず、高齢者や障害者といった社会的弱者を優先的に抽選で入居させる方式をとったため、社会的弱者の割合の高い特異な社会を新たに形成したといわれている。これに対して中越大震災ではコミュニティ単位で入居したため(図2)、仮設住宅入居時においてもコミュニティ機能が発揮されている(表1)。
  4. 2004年10月~2006年3月末までに延べ9万人以上のボランティアを被災地域全体で受け入れている。被災直後には治安悪化を恐れて「ボランティアお断り」を表明するコミュニティもあったが、被災直後の混乱期を抜け出すと、倒壊家屋のあとかたづけなど、コミュニティの避難生活互助機能を補完するようなボランティア活動へのニーズが高まっている。被災自治体ではボランティアセンターやその支所(事務局機能を果たす長期ボランティアが駐在)を設置するなど(図3)、被災地住民のニーズとボランティア活動をマッチングさせる仕組みを構築している。
成果の活用面・留意点
  1. 地方自治体が、行政機関・コミュニティ・ボランティア等からなる災害緊急支援システムを構築する際の参考になる。
  2. 高齢者ばかりのコミュニティの中には、まとまって避難行動がとれなかったケースが見受けられる。こうしたコミュニティについては、自治体が予めその実態を把握し、自治体による安全確認・確保システムを構築しておく必要がある。
具体的データ
表1 震災時におけるコミュニティ機能
図1 町内会の活動
図2 仮設住宅の入居状況
図3 被災住民ニーズとボランティアをマッチングさせる仕組み
予算区分高度化(中越再建)
研究期間2005~2006
研究担当者福与徳文、有田博之(新潟大農)
発表論文1)福与徳文ら(2007)「中越大震災における農村コミュニティ機能」農業土木会誌75(4):11-15
発行年度2007
収録データベース研究成果情報

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