時系列データによる食品安全性リスク評価−O157・狂牛病騒動の事例−

時系列データによる食品安全性リスク評価−O157・狂牛病騒動の事例−

タイトル時系列データによる食品安全性リスク評価−O157・狂牛病騒動の事例−
要約食品安全性の評価価値の動態的変化を時系列データを用いて推定・検定する手法を開発した。O157・狂牛病騒動の事例では,食品安全性の不安は比較的長期間残存する。また消費世帯の特徴により評価が異なる。
担当機関農業総合研究所 経済政策部 需給研究室
連絡先03-3910-3326
区分(部会名)農林水産政策
区分(部会名)農業経済
専門経済政策
分類研究
背景・ねらい食品安全性のリスクは食料消費の変動をもたらす要因として重要である。しかし,食品安全性の評価価値を時系列的に推定する方法はほとんど存在しないため,その動態的変化は必ずしも明らかにされてこなかった。本研究では,まず時系列データから消費者の安全性評価を推定する方法を提案する。この手法を,食品安全性に対する消費者の不安を招いた1996年の狂牛病・O157騒動の分析に適用し,影響の大きかった牛肉に関する安全性評価の変動を明らかにする。推計には1993年~98年の総務庁家計調査月別データを用いる。
成果の内容・特徴
  1. 需要モデルの残差に基づく食品安全性の評価価値(補償受け取り意思額=WTA)の推計手法を提案した。対数線形型需要モデルに基づき,最小二乗法(OLS)による推計モデルの外挿,ダミー変数を用いたモデルの推計,および可変定数項のカルマンフィルター法により推計を行った。O157・狂牛病騒動についての安全性評価の動態的変化について各モデルで同様の結果を導き,推計モデルの頑健性を示した。
  2. 狂牛病・O157問題が起こった後,消費者の安全性に対する不安は一時的に大きく高まり,その後ある程度は収束する。初期の収束後,安全性に対する不安は比較的長期にわたり継続する(図1)。また,時系列分析(単位根検定)においてもショックの影響が比較的長期間残存するという結果を得た。
  3. 世帯間で安全性ショックに対する適応行動の違いが見られる。収入階級別にみれば,中間的階級において食品危害に対する不安が比較的長く続く(図2)。また,世帯類型別では,子供1人の夫婦世帯においては,夫婦年齢が30才代前後で落ち込みが著しい(図3)。
成果の活用面・留意点ここで示した計量手法は残差に基づく推計方法であるため,推計上の誤差が安全性の評価として組み入れられる。例えば,需要の構造的変化など短期の需要モデルでは捕捉できない要因が観測期間内に存在すれば,その影響が推計結果に含まれることに留意する必要がある。
具体的データ
(図1)
(図2)
(図3)
予算区分特別研究(WTO)
研究期間1999~2000
発表論文鬼木俊次「時系列データによる食品安全性リスク評価-0157・狂牛病騒動の事例―」日本経済政策学会 第57回全国大会報告(2000年5月)
発行年度1999
収録データベース研究成果情報

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