高齢者福祉施設を核とした活性化メカニズムの解明

高齢者福祉施設を核とした活性化メカニズムの解明

タイトル高齢者福祉施設を核とした活性化メカニズムの解明
担当機関地域振興政策部 社会構造研究室
地域振興政策部 地域経済研究室
地域振興政策部長
評価・食料政策部 環境評価研究室
区分(部会名)農林水産政策
背景・ねらい農村地域の高齢化率は、既往の住民の高齢化に加えて定年Uターン・Iターン者等の流入により、急激に上昇すると展望される。本研究では、介護保険によって新たな拡充強化の段階を迎えている高齢者福祉施設・事業が、農村社会を安定化・活性化するメカニズムを解明する。
13年度は、介護保険下の介護サービス事業の活動実態を聞取り調査し、事業経営主体の性格や新規参入状況、及びその創出雇用量を、都市と農村と比較する形で明らかにする。
千葉県柏市(都市部)と福岡県・長崎県の5市町(農村部、具体的には、前原市、志摩町、二丈町、福江市、奈良尾町)において介護サービス事業所を、悉皆による聞取り調査を2001年に実施し、介護サービス事業の活動状況について、都市と農村との比較分析を行った。
成果の内容・特徴高齢者(65歳以上)は、柏22,260人、福岡・長崎13,958人で、前者が後者の1.6倍の規模を有する。
図1は、両地域における在宅介護サービス(代表的な3種類)の活動状況を見比べている。高齢者100人当りの訪問介護サービスの利用実人数は、柏4.07人に対し福岡・長崎4.21人で差がない。ショートステイ(療養型を含む)定員数も0.52人に対して福岡・長崎0.67人とそれほど差がない。だが、デイサービス・デイケアに関しては、柏3.25人に対し福岡・長崎6.60人と、後者(農村)で活発に提供されていることが分かる。農村の高齢者は地域で馴染みが多いので、都市に比べてデイサービス・デイケアを抵抗なく(或いは、楽しみにして)利用するものと思われる。
図2は、9介護サービス事業の経営主体種類別事業所数の地域比較をしている。総数は柏と福岡・長崎間で差はないが、その内訳として柏で営利法人、福岡・長崎で社会福祉法人が多いことが分かる。柏の方が福岡・長崎に比べて、高齢者人口が6割がた多いにもかかわらず事業所数がほぼ同じということは、1当市では事業所当りのサービス利用者が多いこと、また介護保険を契機として営利法人の新規参入が多かったことと推定させる。
訪問介護サービス事業を例としてその開始時期を見たのが、図3である。介護保険法が制定された1998年以降に設立された事業所が柏では4分の3に達するが、福岡・長崎では4分の1にとどまる。介護保険の成立にあわせて、これまで福祉サービスが低レベルであった都市部では(営利法人を中心に)急速に整備されつつあるのに対し、中位水準にあった農村部では整備の動きが緩慢なのである。この傾向は、(図を割愛するが)訪問介護だけではなく、在宅介護サービス全般に見出せる傾向でもある。
上記のような介護サービス事業の活動より、どの程度の雇用が確保されているのかを、図4で概観しておこう。柏市の方が福岡・長崎より従業員総数は多いものの高齢者数に比べて相対的に少ないこと、また非常勤形態が半ば近くに達すること、が分かる。営利法人を中心に新規参入の多い柏市の介護サービス事業所が、従業員数を抑えたり、非常勤形態の形で経費縮小に努めていることをうかがわせる。次に、雇用創出を探るバロメーターとして、当職場に勤める前に職業に就いていた否かを尋ねると、前職のなかった者が柏25%、福岡・長崎31%であった。大雑把に言って、介護保険を契機として介護サービス事業は3割程度雇用を増加させた、と思われる。ただ、その雇用が女性(81%)、40歳代以上(55%)に偏り、不安定である(非常勤40%)ことは、雇用上の問題点として残されている。
[今後の問題点と次年度以降の計画]
具体的データ
図1
図2
図3
図4
研究期間1999~2002
発表論文相川良彦・堀田きみ・山根律子「介護保険に対する利用者の反応とその特徴-柏市の介護サービス利用者アンケート調査を中心に-」『農林水産政策研究 第1号』2002年1月。
発行年度2001
収録データベース研究成果情報

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