果実の流通コストと価格形成要因の解明

果実の流通コストと価格形成要因の解明

タイトル果実の流通コストと価格形成要因の解明
担当機関評価・食料政策部 食料需給研究室
区分(部会名)農林水産政策
背景・ねらい従来から果実の小売価格に占める流通諸コストの割合は高く、また近年では果実の市場価格が低迷する中にあって卸売価格と小売価格との乖離がみられるとされている。加えて果実の消費・流通ルートが多様化する中で、仕入れルート別の流通コストのあり方も変化しているとみられる。しかしながら、こうした流通コストが果実の価格形成に及ぼす影響について十分な把握が行われてはいない。そのため、主要果実について、実態調査等により仕入れルート別の流通コストおよび小売価格形成要因を明らかにする。
主要果実について、卸売価格と小売価格の格差の実態を既存統計等で把握する。その上で格差が拡大している品目を中心に、格差拡大の要因を小売店等での実態調査により明らかにする。その際には、小売店での仕入れ価格と販売価格の差を包装経費、廃棄見込み経費、その他の販売経費等に分解して把握する。
成果の内容・特徴
  1. 既存統計により、主要果実の卸売価格、小売価格、および両者の差(マージン)の推移について、検討した。使用したデータは、卸売価格については「全国青果物流通統計年報」(全国生鮮食料品流通情報センター)の1,2類市場平均、小売価格については「家計調査年報」(総務庁)である。
    この結果、近年においてマージンが拡大している品目としてみかんが挙げることができる(図1)。みかんの場合、卸売価格が低迷する中でマージンが拡大していることも特徴的な動きとなっている。
    みかんについては、近年、マージンのみならずマージン率(マージン/小売価格)も増大しているが、こうした傾向はみかんに固有な動きと位置づけられる。すなわち、図2に示したように、果実全体の動きについては、平成4年辺りからマージン、マージン率とも横這い傾向となっている。りんごの場合も近年、マージンが拡大しているとはいえない。
    こうした中で、みかんのマージンおよびマージン率の動きとして、注目すべきは、かつて果実全体と比較して、いずれも低い水準にあったが、平成7年辺りを境にそれぞれが増大し、特にマージン率については果実全体の平均と同程度となっている点である(マージンについても、果実全体の平均に対しての格差が縮小する動きとなっている)。
  2. 以上のような、みかんに固有なマージンの推移について、その背景となる要因について考察した。みかんは、昭和60年前後には小売価格が安く、購入量が多い、いわゆる大衆果実的な性格が強かった。これが、その後、平成7年辺りまでは、一貫して購入量が減少するとともに相対価格(対果実全体)が上昇している。この間、みかんの大衆果実的性格が変質してきたといえる(図3参照)。  かかる動向の中で、消費者の購買行動の変化として、注目すべき点は、消費者の1回当たり購入量が、2.6㎏(昭和60~62年平均)から1.9㎏(平成11~13年平均)まで減少していることである。
    また、別途実施した量販店に対するアンケート調査によれば、みかんの小売マージン((小売価格-仕入れ価格)/小売価格)について、仕入れルートよりも小売形態(包装形態)によるマージン率の差が大きいことが確認された(図4)。
  3. 2.の検討に基づき、みかんのマージン率を規定する要素として、(1)卸売価格水準(青果物全般に共通する要素で負の相関)に加えて(2)小売形態の変化(小売量単位の縮小傾向)をあわせて考慮する必要があると判断した。
    みかんのマージン率を卸売価格と1回当たり購入量とで重回帰させたところ(図5)、当てはまりのよい結果(修正済み決定係数0.853、卸売価格のみの単回帰では同0.348)が得られた。
    このことにより、近年におけるみかんのマージン率の上昇には、小売量単位の縮小が寄与していることが示唆された。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
図5
研究期間2002~2003
発表論文香月敏孝、「果実の流通コストと価格形成要因分析」、行政対応特別研究プロジェクト研究資料、近刊
発行年度2002
収録データベース研究成果情報

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