適切なFTA交渉対応に資する韓国農業・農政動向の分析・解明

適切なFTA交渉対応に資する韓国農業・農政動向の分析・解明

タイトル適切なFTA交渉対応に資する韓国農業・農政動向の分析・解明
区分(部会名)農林水産政策
背景・ねらい経済のグローバル化が進展する中,二国間で自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)を結ぶ動きが活発となっており,わが国でもすでにシンガポール・メキシコとの協定を締結・発効させているほか,韓国,タイ,マレーシア等との政府間交渉を行っているところである。こうした情勢を踏まえ,わが国の適切な交渉対応に必要な基礎資料を得ることを目的に,各国の一般経済情勢と国内農業の状況,農業政策や貿易の動向,協定締結の経済的影響等に関する分析・解明を行った。
各国に先駆けて交渉が開始された韓国については,本省国際部等の交渉担当部局からのニーズが強かったことから,所内研究者等による「韓国農業に関する特別研究会」を組織し,現地調査の実施,国内外研究者を招聘した共同研究の実施等により必要な情報の収集・分析を行った。
成果の内容・特徴
  1. 韓国の経済成長と農業
    韓国は,1960年代から工業化による急速な成長を遂げ,今や先進国の第一線に並ぼうとしているが,その過程で経済全体に占める農林水産業の占めるシエアは徐々に縮小してきた。農業部門の付加価値や就業者シエアの低下には,労働生産性の向上が大きな影響を与えていたが,労働生産性の向上への労働装備率や土地装備率の貢献は小さく,大部分全要素生産性によって説明される。その要因は,80年代までは新品種・化学肥料などの導入による技術革新,80年代後半からは構造改革による効率性の上昇によるものと考えられる。
  2. 韓国の農業生産と農政
    韓国の農業生産は,総産出額ベースでみると,2002年に対前年0.9%減と初めて前年を割り込むまで,一貫して増加してきた。しかし,90年代半ば以降,競争力強化による農業振興に限界が見られ,国内資源を活用し,環境保全型農業にさらに力点を置いた中小農農政へと転換した。その後は,農業生産性の上昇にもかかわらず,農業所得の減少により農家経済が逼迫し,農家所得が都市勤労者所得に比較して低下したことから,近年では所得農政へと重点が移っている。
  3. 韓国の野菜生産と貿易
    韓国では1980年代以降,野菜生産量が急激に増加したが,施設果菜作が主体となって生産拡大を支える等の特徴がみられる。韓国の農産物貿易収支は大幅な赤字であるが,対日収支は黒字となっており,そのうち生鮮野菜の輸出は果菜類が主体となっている。果菜類の全輸出量の9割が日本向けである。一方,自由化に伴い中国等から野菜の輸入が増加しており,韓国を間にはさんだ中国→韓国→日本というドミノ現象がみられる。
  4. 食料消費
    韓国経済の成長に伴い食料消費は,量的拡大と共に大きな構成の変化を示してきた。供給熱量で見ると80年頃に韓国の水準は日本とならび,現在,日本を凌駕する水準にあるが,食の外部化に伴い外食費が急増したことが韓国の特徴である。かつては日本を大きく下回っていた外食費が,80年代の後半からの急上昇で日本を追い抜く状況にある。
  5. 韓チリFTAの影響
    2003年2月に締結されたチリとのFTA協定は2004年4月から発効した。これにより今後韓国の対チリ輸出は大幅に増加すると予想される。しかし,農業部門においては,韓国にとって一番の被害が予想される米,りんご,なしは自由化対象から除外されたものの,果樹部門,特に施設ぶどう,キウイ,もも,スモモなどに大きな打撃を受けると予想される。
表(韓国農林水産部門の成長会計)
図(日中韓3カ国における生鮮野菜の輸出入額)
具体的データ
表(韓国農林水産部門の成長会計)
図(日中韓3カ国における生鮮野菜の輸出入額)
研究期間2003~2004
発表論文行政対応特別研究(FTA・WTOプロジェクト)研究資料第1号,平成16年10月
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

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