タイトル | 微地形データの利用による日射環境の評価精度の改善 |
要約 | 近年,普及が進みつつあるGIS(地理情報システム)の地形情報を用いて傾斜地における日射環境の分布を5mのグリッドサイズで推定する手法を開発した。開発した手法を用いて,傾斜地の耕地における理論上の日照時間(晴天日)の分布マップを作成することによって,日射環境の推定精度が向上した。 |
担当機関 | 企画連絡室 研究技術情報科 |
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四国農業試験場 作物開発部 気象資源研究室 |
連絡先 | 0877-62-0800 |
区分(部会名) | 四国農業 |
専門 | 農業気象 |
研究対象 | - |
分類 | 研究 |
背景・ねらい | 中山間地における農地開発などの現場では,250mメッシュ地形情報による日照時間の推定値と実測値が大きく異なる場合があることが指摘されている。その主な原因は,微地形による直達日射の遮蔽にあり,遮蔽状況を解析するためには,5m程度の間隔の標高データが必要である。そこで,国土地理院発行の2万5千分の1地形図をベクトル化し,その等高線データを内挿して得られた微地形データ(約5m間隔の標高データ,151地点で精度を検証)を用いて,微地形が日射環境に及ぼす影響を解析する。
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成果の内容・特徴 | - 微地形(小尾根)近傍の地点における太陽出現時刻(7月19日)の推定値は,250mメッシュ地形情報のみを用いた推定値と,微地形データと250mメッシュ地形情報を組み合わせて推定した値との間には,約1.5時間の誤差がある(図1)。
- 微地形データによる太陽出現時刻の推定値は,この地点における太陽出現時刻の実測値と高い精度で一致し,7~10月における,その誤差の平均は15分程度である(表1)。
- 250mメッシュ地形情報と微地形データを用いて,解析対象地点を含む250mメッシュ内の理論上の日照時間(晴天日)の分布マップを作成した(図2,図3)。従来の250mメッシュ地形情報では,この地点を含むメッシュの日照時間は12時間38分(7月19日)と推定されていた。しかし,微地形データも加えた推定値では,このメッシュ内における日照時間のばらつきは大きく,最大で4時間程度にも達している(図3)。日照時間が短い地点は特に小尾根の麓や谷底付近に多く見られる。なお,同じ場所について直達日射環境ポテンシャルマップを作成した結果,同様の分布状況を示すことが確かめられた。
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成果の活用面・留意点 | - 傾斜地における圃場の造成において,近接微地形の日射環境への影響をあらかじめ判定することが可能である。
- 広域日射環境マップの作成処理はパソコンでは多大な時間を要するため,ワークステーション等の利用が必要である。
- 川の周辺など,等高線データの内挿精度が低下する場所においては,高精度のGPSなどを用いた標高値の検証過程が必要である。
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具体的データ |
図1 |
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表1 |
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図2,図3 |
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図3 |
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予算区分 | 経常 |
研究期間 | 1997~1998 |
研究担当者 | 佐藤恵一、菅谷 博、藤田晴啓(四国農試) |
発表論文 | 「微細地形情報を用いた直達日射環境評価(1)-250mメッシュ地形情報による日射環境推定精度の限界について」,中国・四国の農業気象(日本農業気象学会中国・四国支部会誌)第10号,P78-79,平成9年11月 |
発行年度 | 1997 |
収録データベース | 研究成果情報 |