マイワシの成熟・産卵を探る

マイワシの成熟・産卵を探る

タイトルマイワシの成熟・産卵を探る
要約マイワシの成熟には餌の量が多く水温が低い環境が好条件である。加齢に伴い産卵頻度やふ化率等の再生産力は低下する。また、餌の質も成長や産卵条件を支配する重要な要因の一つである。一方、天然海域では資源減少期の産卵開始年齢は1才からとなり、資源増大期の産卵開始年齢とは大きく異なった。
担当機関養殖研究所 環境管理部 技術第一研究室
連絡先05996-6-1830
区分(部会名)水産
専門資源生態;魚介類生理
研究対象いわし
分類研究、行政、調査
背景・ねらい天然海域において、成熟・産卵機構と環境条件との相互関係を過程を含めて詳細に解明することは難しい。マイワシ資源が減少の一途をたどる現在、天然海域における成熟・産卵および再生産関係等の情報収集は今後ますます困難になることが予想される。
そこで、飼育実験を中心に成熟・産卵機構と環境条件との相互関係を過程を含めて詳細に検討し、これらの関係を実証し、生理・生態学的諸特性を資源生物学的研究に活用するだけでなく、天然海域で資源減少期にあるマイワシの産卵親魚の成熟・産卵状況を飼育系で得られた結果をふまえて解析することもあわせてねらいとした。
成果の内容・特徴
  1. マイワシが卵黄形成を始める個体の割合は、9月までの餌の量に影響され、餌量が同じ場合は水温が高いとその割合は低くなる。また1日当たりの餌量が体重の0.5%以下では卵黄形成は始まらない(図1)。
  2. マイワシは加齢に伴い産卵頻度(産卵実験した雌尾数に対する産卵した雌の尾数)やふ化率が低下した。若齢群の産卵頻度は72%であるのに対し、高齢群の産卵頻度は45.5%であった。またふ化率も若年齢群で高く85.7%であったのに対し高齢群では51.7%と低かった(図2)。
  3. 天然海域の植物プランクトンを想定し作製した低蛋白飼料(蛋白量:38%)を給餌した場合には、動物プランクトンを想定して作製したワックス添加区(ワックス添加量:10%、蛋白量:52%)および対照区(蛋白量:52%)に比べ肥満度の増減が大きく不安定であった。9月に卵黄形成を始める個体の割合は各実験区で88.6-94.5%であり、大きな差はみられない。12月の卵黄形成期における平均生殖腺体重比は低蛋白飼料区で低く(図3)、発達した卵黄球期卵は確認されず卵黄蓄積を始めた卵母細胞が退行する現象が確認された。
  4. 1994年3月に伊豆諸島海域で採集した体長16cm前後の雌親魚から排卵後濾胞と吸水卵を持つ個体が多く発見され、1才での産卵が確認された。重量法で計測した吸水卵数は8,000~22,000粒であった(表1)。生殖腺を除いた体長別肥満度は体長20cmの親魚では9.29~11.56であるのに対し、16cmの親魚では13.84~15.31と高かった。以上のことから資源量の減少に伴い、産卵年齢の若齢化現象が見られたが、餌環境との関係が推察された。
成果の活用面・留意点加齢に伴う再生産力の低下等の生理・生態学的特性の解明は、主要水産物の資源学的研究に活用できる(例えば資源変動予測、資源変動モデルのパラメーターの作成等)。
具体的データ
図1
図2
図3
表1
予算区分大型別枠研究(バイオコスモス)
研究期間1995~1995
研究担当者藤井一則、白石 學
発行年度1995
収録データベース研究成果情報

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