カタクチイワシ資源量の短期予測手法の開発

カタクチイワシ資源量の短期予測手法の開発

タイトルカタクチイワシ資源量の短期予測手法の開発
要約カタクチイワシを対象に漁獲量と産卵量の短い時系列から1~2年先の資源量と漁獲量を予測する手法を開発した.年齢組成などのデータが十分でない魚種の資源量を推定し許容漁獲量を算定する上で有効な手法である.
担当機関中央水産研究所 生物生態部 資源生態研究室
連絡先045-788-7633
区分(部会名)水産
専門資源評価
研究対象いわし
分類行政
背景・ねらいカタクチイワシは我が国の漁業にとって重要な漁獲対象資源の1つだが、寿命が短く発生時期が長期間にわたるため、資源量推定の基礎となる年齢別漁獲尾数のデータが整備されていない。そこで,本州中部以北の太平洋側に分布するカタクチイワシ(本州太平洋系群)を対象に、Shepherd(1991)の離散型プロダクションモデルを用いて、漁獲量と産卵量の比較的短い時系列から、1~2年先の資源量と漁獲量を予測する手法を開発した。
成果の内容・特徴
  1. t年の資源量と生残率,t+1年の加入量がわかれば、t+1年の資源量はt年からの生き残りと新規加入量の和として計算できる。t年の資源量は、1歳魚以上が全て産卵に加わると仮定して、t年の産卵量から産卵親魚量を計算し資源全体に引き延ばす。t年の資源量と漁獲量からt年の漁獲利用率が計算できる。t年の生残率は、年齢組成から推定される平均的な自然死亡率とt年の漁獲利用率から計算する。t年の加入量は、事後的にはt年の資源量とt-1年からの生き残り資源量の差として計算できる。t+1年の加入量の予測値を過去数カ年(ここでは3カ年)の加入量の平均値として、t+1年の資源量を予測する。さらに、t+1年漁獲利用率がt年と同じと仮定して、t+1年の漁獲量を推定する(図1)。
  2. 漁獲量と産卵量の間の一次回帰関係に基づき、t+1年の漁獲量の予測値からt+2年の産卵量を推定する。1に示す過程を繰り返して、t+2年の資源量と漁獲量の予測値を得る。
  3. 資源量の予測値は産卵量が安定している時には事後の計算値とよく一致した。しかし、産卵量が前年に比べて大きく変化する場合には 大きくはずれた(図2)。
  4. 漁獲量の予測では,資源量と同様に産卵量や漁獲量が前年に比べて大きく変化する場合に精度が悪かったが、全体的には資源量に比べて実測値からのずれは小さくよい結果が得られた(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 仔稚魚分布量など何らかの加入量の指標が利用できれば資源量および漁獲量の予測精度は向上する。
  2. 漁獲利用率と生残率はトレードオフの関係にあり、漁獲利用率の推定誤差に対して漁獲量の予測結果は比較的頑健であることから、漁況予測への活用も期待できる。
  3. この手法は何らかの方法で事後的な資源量が計算可能な他魚種にも応用可能である。
  4. この手法の一連の計算過程はパソコンの表計算ソフトを用いると便利である。
具体的データ
図1
図3
予算区分経常・漁業調査
研究期間1994~1997
研究担当者和田時夫.浅野謙治.岡田行親
発表論文和田時夫.浅野謙治.岡田行親(1995)カタクチイワシ漁獲量と資源量の短予測法.水産海洋研究.59(4).384-388
発行年度1995
収録データベース研究成果情報

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