池産サクラマスの放流効果

池産サクラマスの放流効果

タイトル池産サクラマスの放流効果
要約サクラマスの資源を増やすために放流された池産サクラマスの放流効果を明らかにするため、北海道沿岸の漁協市場で標識サクラマスの市場調査を行いました。調査データから不偏推定量を計算して標識放流魚の回帰率を推定した結果、大型サイズで放流した場合に放流効果が高いことが明らかになりました。
担当機関北海道立水産孵化場 池産サクラマス回帰率向上試験プロジェクトチーム放流効果判定部会
連絡先0123-32-2135
区分(部会名)水産
専門資源評価
研究対象サクラマス
分類調査
背景・ねらい年々、漁獲量が減少している北海道沿岸のサクラマス資源を増やすため、かなり昔から行われてきた人工孵化放流による増殖事業が1980年代後半から強化されましたが、漁獲量は思うように回復していません。増殖事業の効果が現れない大きな原因としては、放流技術の開発が不十分であることが挙げられ、放流効果そのものも明らかでないのが現状です。そこで、より効果の高い放流技術を開発するために、まず市場調査を行って標識放流されたサクラマスの放流効果を把握しようと試みました。
成果の内容・特徴
  1. 標識魚の市場調査は二段無作為抽出法を用いました。一段目の抽出は漁協市場で、日本海から太平洋西部沿岸にかけての市場から40前後の市場を選定しました。二段目の抽出は調査日で、漁獲時期の1~6月に原則として旬1回のペースで調査日を選定して図1のような鰭切除標識魚数を標識部位別に調べました。調査尾数は年によって違いますが7万尾前後、鰭切除標識魚の混獲率は4.4~6.4%でした(表1)。
  2. 調査データは Kitada,et al.(1992)による計算式に入力し、調査海域における標識魚の漁獲尾数について不偏推定量を計算しました。その結果、1994年は約13,800尾、1995年は約14,400尾、1996年は約13,800尾の標識池産サクラマスが調査海域全域で漁獲されたと推定されましたが、推定値の信頼性に問題が残りました。
  3. 放流方法別に沿岸回帰率を推定すると、スモルト放流のような大型幼魚放流の回帰率が高く、稚魚放流の放流効果は低いことが分かりました(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 回遊性が強いサクラマスのような魚種の放流効果を把握する手段としては、二段無作為サンプリングによる市場調査と不偏量推定法の組み合わせは有効な手法であると考えられますが、推定値の信頼性をより高めるためには、調査方法やデータの取り扱い方法について検討する必要があります。
  2. 現在、サクラマスの増殖に最も多く用いられている稚魚放流は、放流後の河川内における自然死亡や遊漁による減耗が大きくて、放流効果は高くありません。資源を増やすためには大型幼魚放流であるスモルト放流が推進されるべきでしょう。
具体的データ
図1
表1
表2
予算区分道単事業
研究期間1993~1997
研究担当者放流効果判定部会(部会長 杉若圭一)
発表論文杉若圭一(1996). 標識魚の市場調査結果から推定した池産サクラマスの放流効果.魚と水,33,43-51.
発行年度1996
収録データベース研究成果情報

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