放射能水準監視(モニタリング)の指標生物としてのスケトウダラの有効性

放射能水準監視(モニタリング)の指標生物としてのスケトウダラの有効性

タイトル放射能水準監視(モニタリング)の指標生物としてのスケトウダラの有効性
要約スケトウダラの大形魚は一般の底魚類と異なり、そのCs-137濃度は魚体の大きさに無関係でほぼ一定であることが判った。この知見は魚体の大きさを考慮せずに放射能値を相互に比較可能であることを意味し、スケトウダラは放射能水準監視(モニタリング)の指標生物として極めて有効であることが判った。
担当機関中央水産研究所 海洋生産部 海洋放射能研究室
連絡先045-788-7653
区分(部会名)水産
専門漁場環境
研究対象スケトウダラ
分類調査
背景・ねらい旧ソ連・ロシアにより日本海、オホーツク海、及びカムチャツカ太平洋沖含域等の北方寒流域に放射性廃棄物(特に固体廃棄物)が大量に投棄されていたことが発覚した。海底に放置されている放射性固体廃棄物からの放射能汚染が危倶される。漁業資源の安全性を確認するための放射能水準監視調査(モニタリング)を長期間(少なくとも十年間以上)継続して実施することが要請された。当該海域に生息する多くの魚介類からモニタリングのためにより適切な種類を選定するために、漁業資源としての重要性、分布、回遊、食性等の生態からの検討と共に、放射能蓄積性に関してすぐれた特性を持つ生物種(指標生物)を発見することが要求される。スケトウダラは重要漁業資源であり、諸生態の検討からも当該海域の重要種である。そこで「指標生物」としての有効性について調査、検討した。
成果の内容・特徴
  1. 一般的には底魚類の大きさ(年齢)と放射能蓄積(放射能濃度)とは正の相関がある。サハリン沖で採取されたスケトウダラの大形魚(全長55cm~75cm、体重1.1Kg~3.1Kg)を体長別に4区分し、各区分について魚体全体と筋肉のγ線放出核種を測定した。検出された人工放射性核種Cs-137濃度(計数値とその標準偏差)と魚体の大きさとの関係を図1に示した。スケトウダラの大形魚は一般の底魚類と異なり、放射能濃度は大きさに無関係でほぼ一定である。この知見は魚体の大きさを考慮せずに放射能値を相互に比較出来ることを意味し、スケトウダラは指標生物として極めて有効であることが判った。
  2. スケトウダラを指標生物として生息海域とCs-137濃度(過去3~10年間の平均値とその標準偏差)の比較を図2に示した。本図から各海域の放射能水準を判定できる。
  3. 日本近海の主要底魚類のCs-137濃度(過去10年間の平均値と標準偏差)を図3に示した。スケトウダラはCs-137を比較的高濃度に蓄積する魚種であることが判る(図2参照)。
成果の活用面・留意点スケトウダラは寒流域の放射能水準監視の指標生物として極めて有効であり、さらに活用すべきてある。ただし、図2の小樽~武蔵推に示された値だけでロシアによる投棄の影響と短絡するのは危険である。検出核種がCs-137のみであること、経年変化の傾向、及び日本海北部海域の海流等を考慮すれば過去の降下物の影響である可能性が高い。尚、検出されたCs-137濃度(0.5Bq/Kg以下)は輸入食品の暫定限度(370Bq/Kg)に比べ遙かに低い。
具体的データ
図1
図2
図3
予算区分放射能調査研究費(近海海産生物沿岸域・沖合域)
研究期間1985
研究担当者吉田勝彦、南迫洋子、森田貴己
発表論文1)水産生物の放射能、保健物理学会誌、29、1994.
2)サハリン・カムチャッカ沖合域海産生物放射能調査、平成7年度農林水産省関係放射能調査研究年報、農林水産技術会議、1997.
3)日本海沿岸・沖合域海産生物放射能調査、平成7年度農林水産省関係放射能調査研究年報、農林水産技術会議、1997.
発行年度1996
収録データベース研究成果情報

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