九州西海域の餌料生物と環境要因

九州西海域の餌料生物と環境要因

タイトル九州西海域の餌料生物と環境要因
要約九州西岸海域57地点の100m以浅の環境要因と餌料生物の分布を春季を中心に調べた。植物プランクトン量は、水温が低い海域が有意に密度が高かった。浮魚類を含む稚仔魚に重要なカイアシ類幼生は、対馬暖流域が最も多く、黒潮流域、薩南海域の順であった。天草灘では餌料生物の分布が複雑で、環境要因の複雑さを反映していた。
担当機関西海区水産研究所 資源増殖部 増殖漁場研究室
連絡先095-822-8158
区分(部会名)水産
専門生物生産
研究対象プランクトン
分類研究
背景・ねらい九州西岸域では浮魚類マイワシを含む多くの魚類が産卵する。ふ化した稚仔魚の「生き残り」は餌料生物の量に大きく影響される。餌料生物の量は、環境要因によって大きく影響される。本研究では九州西岸海域の春季に産卵するマイワシと餌料生物の分布とそれらが生息する環境の関連について調査し、魚類の産卵生態並びに資源量推定の基礎的知見とした。
成果の内容・特徴
  1. 長崎県壱岐の西方から鹿児島県薩南海域にかけての九州西岸海域57地点において、春季を中心に水深100m以浅の水温・塩分・栄養塩・餌料生物の種類について調べた。
  2. 餌料生物密度分布並びに環境要因からみて、五島以北と甑島以南は比較的単純であったが、天草灘は複雑な海況を呈した。
  3. 植物プランクトン量は水温が低い海域に多く、水温が高い水域に少ない相関関係が得られた。
  4. カイアシ類幼生が最も多く分布するのは対馬暖流域、次いで天草灘、黒潮域、薩南海域の順であった。カイアシ類幼生の分布を調べて見ると、次のようなことが判った。
    • 小型カイアシ類幼生は黒潮流域より対馬暖流域がやや多い。
    • 中型カイアシ類幼生は黒潮流域より対馬暖流域が2.6倍多い。
    • カイアシ類幼生は海面近くに多く、深くなる程少ない。
成果の活用面・留意点九州西岸海域で産卵する魚類(マイワシ等)の浮遊卵は海面近くまで浮上してふ化する。この結果として卵黄が吸収され、餌を食べ始める時期には餌料生物が多い水深に到達している。
自然の食物連鎖はうまく機能していることが示されている。本研究は、稚仔魚分布を調べる大型ネットによる採集等と同時に実施した。これらを専門の研究者が解析して各々の関係について検討した一部である。資源生物の持続的利用並びに産卵生態研究の基礎資料としたい。
具体的データ
表1 環境要因と餌料生物との相関関係
図1 水深別(上)およびサイズ別(下)のカイアシ類幼生の分布
予算区分経常
研究期間1992~1996
研究担当者小笹悦二、小西芳信、松岡正信
発行年度1996
収録データベース研究成果情報

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