高密度飼育で生じるアユのストレス反応と病気

高密度飼育で生じるアユのストレス反応と病気

タイトル高密度飼育で生じるアユのストレス反応と病気
要約琵琶湖産アユと人工アユを密度を変えて飼育したところ、密度を高めるとストレス反応(血清コルチゾル濃度の増加)が生じ、その反応は湖産アユが人工種苗に比べて著しく大きかった。高密度により生じるストレスはチョウチン病等の病気発症の一因と考えられる。
担当機関中央水産研究所 内水面利用部 漁場管理研究室
連絡先0268-22-0594
区分(部会名)水産
背景・ねらいアユの冷水病が漁業や養植生産に及ぼす影響が危慎され,その防疫対策技術の早急な確立が必要とされている。冷水病は典型的な条件性病原体で,ストレスによって魚の状態が悪化すると発病しやすいといわれている。この研究は,アユ種苗の輸送,取り扱い,放流,養殖池等の現場で頻繁に起こると想定される高密度飼育(あるいは収容)とストレス反応との関連を,種苗の種類別(琵琶湖産アユと人工種苗)に明らかにした。さらに,ストレスと病気の発症との関連をチョウチン病を例に挙げて検討し,これらの知見を冷水病防疫対策技術の確立に資することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 収容密度とストレス反応との関係を明らかにするために,琵琶湖産アユと人工アユをそれぞれ3,7,12,および,27尾ずつ別々に直径35cmの網籠に入れ,2日後に各区から6尾ずつ採血し,ELISA法により血清中のコルチゾル濃度を測定した。血清コルチゾル濃度は湖産アユと人工アユのいずれにおいても個体密度を高めると増加した。このストレス反応は湖産が人工より著しく大きいことが明らかになった(図1)。
  2. 湖産アユでは高密度ほどチョウチン病による死亡率が高かった(図2)。一方,人工アユにおいては高密度でもチョウチン病は発症しなかった。
  3. この湖産アユと人工アユのチョウチン病発症の差は,高密度で生じるストレス反応がチョウチン病の原因だと仮定すれば説明できる。すなわち,人エアユは緊密な群れ,湖産アユは分散した群れを形成し,隣接個体間の距離(最適個体間距離)は湖産アユが人工アユより大きい(図3)。従って,高密度では湖産アユは人工アユより隣接個体間に強い反発性あるいはストレス反応を生じるため,湖産アユは人工アユよりチョウチン病を発症しやすかったと考えられる。
成果の活用面・留意点人工アユは天然アユに比べて群れ易く,高密度飼育に耐える形質を有するらしい。このように密度に対するストレス反応は種苗の種類によって異なることから,種苗の特性に応じた収容密度の検討が必要である。また,同じ種類の種苗であっても水温や給餌の条件によって異なると予想されることから,これら環境条件の影響については今後の検討を要する。
具体的データ
図表
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予算区分連携開発研究
研究期間1997~2002
研究担当者伊藤文成、内田和男
発表論文平成10年度連携開発研究・水産生物育種の効率化基礎技術の開発(水産生物育種)プロジェクト研究推進会議資料,農林水産技術会議事務局・養殖研究所編平成9年度日本水産学会春期大会講演
発行年度1998
収録データベース研究成果情報

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