カジメ藻場を復活させるための研究

カジメ藻場を復活させるための研究

タイトルカジメ藻場を復活させるための研究
担当機関高知県水産試験場 漁場環境科 石川徹
連絡先088-856-1175
区分(部会名)水産
背景・ねらいアワビやウニなどの餌として効果の高いカジメ藻場は近年著しく減少した。このカジメ藻場の回復を目的として、消滅原因の究明と造成手法の検討を行った。
  1. 藻場の変動要因の解明
    • カジメ藻場の維持されている田野浦海域と消滅した手結海域の水温比較では手結が全般的に高水温で推移し、特に近年では秋冬季の水温の上昇度が高かった。
    • 原因は不明であるが土佐湾全体として近年高水温傾向にありこの傾向が続くと田野浦のカジメ藻場も消滅する可能性がある。
    • 手結では藻食性底生動物特にウニ類の分布密度が平均49個体/m2と高く、ウニ漁業が営まれる田野浦では平均2個体/m2と少なく食圧が低く押さえられていたと考えられる。
    • 田野浦では近年ホンダワラ類が増加しており植生の多様化によって、食圧分散や捕食確率が軽減された可能性がある。
    • 以上の結果から、高水温傾向にある現状ではホンダワラ類を中心とした藻場造成を先行させ、その後水温等の状況を把握しながら段階的にカジメ類を入植させることが適当であると考えられた。
  2. 藻場造成手法の開発
    • カジメ藻体を藻食性魚類から遮蔽するものとして人工海藻とホンダワラ類を使用し、ともに効果が窺えた。
    • 人工海藻による食害防御では移植藻体の上方が覆われる様な措置を講じたものや人工海藻藻体の間隔を密としたもので食害防御の効果が現れた。
    • 高知県佐賀地先における藻食性魚類(ブダイ)は食害の状況からアントクメ>カジメ>ノコギリモクの順に嗜好性が高いと考えられた。
    • カジメとホンダワラ類の混植ではホンダワラ類を20cm~30cm間隔に配置し、その間にカジメを直線的に配置したものに食害防御効果が観察された。ホンダワラ類に顕著な食害は認められず、食害防御効果は摂食行動の阻害や発見率の低下といった藻体の物理的な遮蔽による面が大きいと考えられる。ただし、ホンダワラ類藻場の造成技術はまだ確立されていないため、今後の課題である。
成果の活用面・留意点土佐湾沿岸域では平年より水温の高い傾向が続いておりカジメが生育しにくくなっている。カジメ藻場の回復を目指すには、まず食害や水温上昇に強い海藻類を生育させ、食圧を減少させるなどカジメが生育できる環境条件を整備する必要がある。
具体的データ
図表
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発行年度2003
収録データベース研究成果情報

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