北海道東部太平洋海域における底魚資源環境応答の複雑性

北海道東部太平洋海域における底魚資源環境応答の複雑性

タイトル北海道東部太平洋海域における底魚資源環境応答の複雑性
要約道東太平洋における底魚類の資源動向を商業漁獲から調べた結果、複数の魚種で1980-1990年代にCPUEの大きな変化がみられた。一部の資源では環境変化が資源動向に影響する可能性が示されたが、この海域に高い豊度を持って来遊するプランクトン食性魚類資源が、この海域の生態系のより低次/高次の栄養段階に影響して、底魚類の資源動向に関与している可能性も同時に示唆された。
担当機関(独)水産総合研究センター 北海道区水産研究所 亜寒帯漁業資源部 底魚生態研究室
連絡先0154-92-9136
区分(部会名)水産
専門資源生態
研究対象底魚
分類研究
背景・ねらい道東海域は1980年代にはマイワシの索餌場として利用されていたが、1990年代に入るとマイワシ資源の減少とともに道東海域での分布はみられなくなった。一方、近年の調査研究によって、スケトウダラの養育場が東北海域から道東海域に移行したことが指摘されている。本研究では、調査船調査と漁獲統計解析から主要魚種の経年的な資源動向を調べ、海洋環境情報を視野に入れつつ、その変動要因を検討することを目的とした。
成果の内容・特徴道東の沿岸域にはカジカ類が卓越して分布した。スケトウダラの年級豊度が高い年には、大量の0歳魚が初夏に襟裳岬を越えてこの海域に来遊し、1歳、2歳と水深を深くしながら分布を広げていた。水深300m以深ではイトヒキダラ、キチジ等が分布した。カレイ類は種特有の分布特性をもって100-400m水深帯に広くみられた。道東海域における主要漁獲対象のCPUE経年変化を調べたところ、いくつかのパターンに類別された(図1)。

A.減少:キチジ、メヌケ等; B.1980年代後半と1990年代後半に増加:アカガレイ、マダラ等; C.1990年代後半増加:ババガレイ、ヒレグロ、スケトウダラ等; D.スパイク状に振動:ホッケ、アブラガレイ等。

マダラ等にみられる変動は、1988/89年に低下し、1997/98年で増大する傾向を示しており、親潮流域に見られる水温変動とも関係して、環境変動に応答している可能性が考えられた。一方、ヒレグロやアブラガレイにみられる1990年代後半のCPUEの増加は、マイワシが減少してスケトウダラ加入量が増加した1995年以降に対応してみられた(図2)。マイワシやスケトウダラ幼魚などのプランクトン食性で海域に大きな生物量をもって分布する魚種が、被食-捕食関係等の生態的プロセスを経て、海域の底魚類資源動向に広く影響を与えている可能性が示唆された。以上のように、底魚資源変動に複数の要因が関与していることが示された。
成果の活用面・留意点漁業資源の評価・管理の高度化に際して資源変動要因を知ることは有効である。環境変動とともに被食-捕食関係を通した生態的プロセスが資源変動の要因となっていることを示した。解析されたデータは限定的であり、今後実証に向けてさらに多くの野外調査と解析を必要とするものである。
具体的データ
図1 道東太平洋沖合底びき網漁業にみられるCPUE(kg/網)変動パターン。上図:減少、中図:1980年代後半と1990年代後半に増加、下図:1990年代後半に増加。
図2 道東太平洋沖合底びき網漁業にみられるスケトウダラCPUE(kg/網)
予算区分交付金
研究期間2001~2005
研究担当者西村 明、八吹圭三、濱津友紀
発表論文西村 明・八吹圭三・濱津友紀、2004.(14)北海道周辺海域底魚資源の環境応答の複雑性、水産海洋研究、68(4)、266-267.
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

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