貝毒の原因となる鞭毛藻類の分布拡大は人為的要因によることを解明

貝毒の原因となる鞭毛藻類の分布拡大は人為的要因によることを解明

タイトル貝毒の原因となる鞭毛藻類の分布拡大は人為的要因によることを解明
担当機関独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部 有毒プランクトン研究室
連絡先0829-55-0666
区分(部会名)水産
背景・ねらい近年、世界各地で有毒渦鞭毛藻Alexandrium tamarenseの分布域が拡大し、食用貝類の毒化を引き起こしている。しかし本種の分布拡大経路については国内外から船舶のバラスト水や水産種苗の移植等を介して栄養細胞やシスト(図1)が移入する可能性が指摘されているが確証はない。本研究では、本種の高度多型分子マーカーを開発し、日本沿岸各地に分布する本種個体群の遺伝的構造や遺伝的交流及び分化の程度を明らかにし、分布拡大機構の解明を試みた。
成果の内容・特徴13個のMS(マイクロサテライトマーカー)を開発した。このうち、PCR増幅が良好な9個のMSを用いて、日本沿岸9地点、韓国沿岸1地点から採取した520株の遺伝子型を調べた結果、個体群間の遺伝的距離と地理的距離に有意な正の相関が認められた(r=0.60,n=45,P=0.0002,Mantel test)(図2)。このことは地理的距離に応じて集団分化が生じており、遠隔地ほど海流・潮流などの自然現象によるA. tamarense集団間の遺伝的交流が制限されていることを強く示唆する。さらに、集団の遺伝的分化については、約半分のペア集団間で統計学的に有意差が認められた(P0.001~P0.05)(表1)。その中で、地理的に約1,000km離れているにもかかわらず、極めて高い遺伝的類縁性を示すペア集団が見出されたことは、自然現象ではなく人為的要因により、遺伝的交流が生じていることを強く示唆しており、本種の分布拡大が人為的な要因によることを裏付けた。
成果の活用面・留意点
  • 各海域に出現する各個体の遺伝子型の識別およびデーターベース化への寄与。
  • 地球規模の分布拡大に及ぼすバラスト水等の人為的要因の影響解明への活用。
  • 本種が新たな海域に出現した場合、その起源水域の推定が可能となる。
  • 本法の活用を他種有害・有毒プランクトンへも拡げる可能性を開拓した。
具体的データ
図表
予算区分運営費交付金(所内プロジェクト研究)
研究期間2003~2004
研究担当者松山幸彦(瀬戸内水研)、長井 敏(瀬戸内水研)、板倉 茂(瀬戸内水研)、浜口昌巳(瀬戸内水研)、宝月岱造(東大農)、練 春蘭(東大アジアセンタ-)
発表論文S. Nagai, C. Lian, M. Hamaguchi, Y. Matsuyama, S. Itakura and T. Hogetsu (2004). Development of microsatellite markers in the toxic dinoflagellate Alexandrium tamarense (Dinophyceae). Molecular Ecology Note, 83-85.
発行年度2004
収録データベース研究成果情報

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