遺伝的多様性の維持を考慮したミヤコタナゴの水槽内での繁殖方法

遺伝的多様性の維持を考慮したミヤコタナゴの水槽内での繁殖方法

タイトル遺伝的多様性の維持を考慮したミヤコタナゴの水槽内での繁殖方法
要約希少淡水魚ミヤコタナゴ飼育集団の遺伝的多様性の維持が可能な繁殖方法の検討を行った。親魚数および繁殖期間を数段階に設定して自然繁殖させ、得られた稚魚の遺伝的多様性を比較したところ、繁殖期間をより長く設定した区で遺伝的多様性は高く維持された。
担当機関栃木県水産試験場 水産技術部
連絡先0287-98-2888
区分(部会名)水産
専門水産遺伝育種
研究対象他の淡水魚
分類研究
背景・ねらいミヤコタナゴの保全のために生息域外での飼育繁殖による保全策の重要性が増している。しかし、水槽内での継代飼育では、遺伝的多様性の低下や遺伝子組成の変化などが起こる可能性が高いと指摘されており、遺伝的多様性の維持が可能な繁殖方法を確立することが課題となっている。そこで、繁殖に用いる親魚数および繁殖期間の違いが子世代の遺伝的多様性に与える影響について明らかにすることを目的に実験を行った。
成果の内容・特徴
  • 雌雄合計10、30、60個体(それぞれ雌雄同数)のミヤコタナゴ親魚を入れた150Lの繁殖水槽各6個で、3週間および9週間、二枚貝を用いて自然繁殖を行わせた。
  • 繁殖によって得られた子世代の遺伝的多様性を、マイクロサテライトDNA(4遺伝子座)およびmtDNA調節領域の部分配列(500bp)をマーカーとして解析し、親魚母集団の遺伝的多様性と比較したところ、マイクロサテライトDNAにおける子世代の平均アリル数は親魚数が少ないほど低下していた(図1)。
  • mtDNAのハプロタイプ多様度は、9週間繁殖させた実験区では親魚数によらず親魚母集団とほぼ同レベルの多様性を示したが、3週間繁殖させた実験区では親魚数が少なくなるほど遺伝的多様性が低下した(図2)。
  • 親魚-子世代間の遺伝子頻度の変化量から求めた有効集団サイズNeは、同じ親魚数においては9週間繁殖させた方が高い値を示したが、Ne/N比はむしろ親魚数が少ないときの方が、より高い値を示した(図3)。
  • 短い繁殖期間では、繁殖に係わる雌親魚の割合が低下することが明らかになり、それは産卵周期と関係していると考えられた。以上の結果から、限られた親魚数を用いて繁殖を行う場合は、できるだけ長い期間繁殖をさせることが、より多くの親魚の繁殖貢献を高めることに有効で、子世代の遺伝的多様性の維持に効果があると考えられた。
成果の活用面・留意点遺伝的多様性の維持が可能な希少魚類の飼育繁殖方法の確立により、生息域外保全、すなわち水産試験場や水族館などにおける希少魚の系統保存の有効な展開が期待される。
具体的データ
図1
図2
図3
予算区分国庫受託
研究期間2001~2005
研究担当者久保田 仁志
発表論文独立行政法人 水産総合研究センター(2005)ミヤコタナゴ.平成16年度野生水産生物多様性保全対策事業成果報告書.
発行年度2005
収録データベース研究成果情報

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