親潮および黒潮・親潮混合域のNeocalanus属カイアシ類と栄養塩濃度の長期変動

親潮および黒潮・親潮混合域のNeocalanus属カイアシ類と栄養塩濃度の長期変動

タイトル親潮および黒潮・親潮混合域のNeocalanus属カイアシ類と栄養塩濃度の長期変動
担当機関混合域海洋環境部 高次生産研究室
独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所
区分(部会名)水産
専門生態系
研究対象動物プランクトン
分類研究
背景・ねらい
 東北水研では親潮および混合域において半世紀以上にわたり動物プランクトン標本を採集・管理している。それはオダテコレクションと呼ばれており、本研究ではこれを用いて種レベルで分析を行うことで、水産資源の重要な餌であるNeocalanus属3種の現存量の約40年間の変動の実態を明らかにし、その要因を考察した。

成果の内容・特徴 親潮域ではN. flemingeri、N. cristatusの現存量は有意な増加トレンドおよびそれに乗じたピークを90年代中期に示した。一方、N. plumchrusではトレンドは見られなかったが、60年代前期、70年代中期および90年代中期にピークを示すという周期的な変動を示した。混合域では3種とも有意な減少トレンドが見られ、さらにトレンドに乗じたピークが60年代中期、70年代後期に見られた。これらをリン酸塩濃度と比較するとN. plumchrusでは親潮域、混合域ともに良く似たパターンを示し統計的にも有意な正の関係を示した。一方、N. flemingeri、N. cristatusでは、親潮域では有意な関係が見られなかったが、混合域では有意な正の関係を示した。N. flemingeri、N. cristatusは晩冬に表層に出現し春から夏にかけて成長するのに対し、N. plumchrusは晩春に表層に出現し夏に表層で成長する。夏は特に栄養塩の枯渇する季節であるため、リン酸塩濃度の変動が基礎生産に影響することでN. plumchrus生産に影響したと推察された。また混合域は親潮域に比べて栄養塩濃度が低いために季節を問わずその変動が基礎生産に影響し易いため3種の生産に影響した可能性が考えられた。リン酸塩濃度の変動の要因としては、地軸の振れに由来する潮汐強度の周期的変動並びに気候変動伴う北太平洋全域での表層塩分の低下が考えられた。

成果の活用面・留意点
1)Neocalanusは水産資源の餌として重要でそれらの資源変動機構の解明に活用できる。
2)Neocalanusは生物ポンプとしても重要で地球温暖化の予測精度の向上に活用できる。


具体的データ
図表 <a href="/media/chart/0000617792/0000062780" class="icon_pdf">PDFファイル</a>
予算区分技術会議プロ研「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響の評価と高度対策技術の開発」
研究期間2006~2010
研究担当者田所和明
発表論文田所和明 (2007) 北太平洋におけるレジームシフトとメソ動物プランクトン.レジームシフト理論と生物資源管理. 川崎健・谷口旭・花輪公雄・二平章編, 成山堂, 東京, p69-78.(著書)
発行年度2007
収録データベース研究成果情報

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