マダイ稚魚におけるタウリンの要求量および機能に関する研究
マダイ稚魚におけるタウリンの要求量および機能に関する研究
タイトル | マダイ稚魚におけるタウリンの要求量および機能に関する研究 | ||
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担当機関 | 生産システム部 飼餌料研究グループ | ||
独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所玉城分室 | |||
連絡先 | 0596-58-6411 | ||
区分(部会名) | 水産 | ||
専門 | 魚類栄養 | ||
研究対象 | 魚類 | ||
分類 | 研究 | ||
背景・ねらい | 養魚用飼料に含まれる栄養成分含量を最適化することは,生産性の向上によるコスト低下のみならず,環境への汚濁負荷を軽減する上でも重要である。養魚用飼料の主原料である魚粉の価格高騰と供給逼迫を受け,魚粉に替わる原料を積極的に活用することが検討されているが,これら魚粉代替原料では,必須栄養成分が不足していることが多く,かつ,魚類の生理機能を阻害する物質が含まれている場合がある。このため,代替原料を配合した養魚用飼料を開発するためには,不足する栄養素を特定して,その最適強化量を明らかにするとともに,生理機能を阻害する物質とその影響を明らかにし,当該物質の除去・不活化などにより飼料の栄養価を向上させる必要がある。 | ||
成果の内容・特徴 | マダイ稚魚において,摂餌性に優れたカゼインを主成分とする精製飼料を開発して試験に用い,当該飼料に段階的にタウリンを添加して給与したところ,タウリンの添加に従って成長や飼料効率が改善し,飼料中に0.5%の添加によって最大の効果がみられた(図1~2)。一方,シスチンの添加効果はなく,シスチンからタウリンへの生合成は行われないと推察された(図1)。また,タウリンの添加に従って遊離アミノ酸プールのタウリン含量が増加するとともに一般的なアミノ酸が減少したことから,アミノ酸がタンパク質合成(成長)に有効利用されること(図3),および胆汁酸量が増加し,肝膵臓の脂質含量が増加したことから,脂質代謝も改善されること(図4)が示唆された。 | ||
成果の活用面・留意点 | 合成タウリンを飼料添加物として認可するための審議において,タウリンの添加効果や安全性に関して,当該研究成果が活用された。また,マダイ稚魚におけるタウリンの要求量は,タウリン配合飼料を実用化する上で重要な指標となる。タウリンの添加がアミノ酸や脂質の代謝に影響を及ぼすことを明らかにしたことから,今後タウリンの機能に関する研究が進展することになろう。 | ||
具体的データ | |||
図1 | |||
図2 | |||
図3 | |||
図4 | |||
予算区分 | 運営費交付金 | ||
研究期間 | 2007~2008 | ||
研究担当者 | 古板博文、山本剛史、松成宏之 | ||
発表論文 | Matsunari, H., H. Furuita, T. Yamamoto, S.-K. Kim, Y. Sakakura, T. Takeuchi (2008). Effect of dietary taurine and cystine on growth performance of juvenile red sea bream Pagrus major. Aquaculture, 274, 142-147.Matsunari, H., T. Yamamoto, S.-K. Kim, T. Goto, T. Takeuchi (2008). Optimum dietary taurine level in casein-based diet for juvenile red sea bream Pagrus major. Fish. Sci., 74, 347-353. | ||
発行年度 | 2008 | ||
収録データベース | 研究成果情報 |