タイトル | 主たる従事者の所得確保を可能にする集落営農組織の経営モデル |
要約 | 集落営農の経済効果を主たる従事者の所得確保につなげる経営モデルとして、(1)土地利用型作目は組織で行い、集約作目を個別で実施する「個別経営併用方式」、(2)農地利用調整組織と担い手組織からなる「重層的組織方式」、(3)収益性の高い作目を組み合わせ、労働力と土地の有効利用で所得確保を目指す「1農場完結方式」が考えられる。 |
キーワード | 集落営農組織、主たる従事者、経営モデル |
担当機関 | 秋田農試 経営計画部 経営管理担当 |
連絡先 | 018-881-3313 / saitou-satoru@pref.akita.lg.jp / saitou-satoru@pref.akita.lg.jp |
区分(部会名) | 東北農業 |
分類 | 技術、参考 |
背景・ねらい | 新政策では、集落営農組織が担い手として認知された。しかし、集落営農内の収益配分が必ずしも農業主業経営の確保につながっていない等集落営農組織の運営方式の問題点が指摘されている。そこで、集落営農組織の実態解析を踏まえ、持続的に発展できる営農方式・組織運営管理方式を解明し、経営モデルを提案する。
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成果の内容・特徴 | - 集落営農の展開により、対象集落内にどの位の金額が還元されているかを決算書から推定すると、総額で1,200~2,800万円ほどであるが、10a当たりでは51~87千円となる。秋田県の2004年産米生産費調査による県平均の10a当たり所得34千円と比較すると、集落営農の経済効果は高く、特に、野菜を組み合わせたA経営で高い(表1)。
- しかし、「経営規模の割に主たる従事者が多い」「稲作+大豆型が多い」「地代や管理委託料が高く設定されている」等により、主たる従事者の組織から得られる推定所得は、136~183万円程度と、県目標所得460万円の半分にも及ばないのが実態であり、集落営農の経済効果が主たる従事者の所得確保につながっていない(表2)。
- 秋田県内で最も多い「稲作+大豆」の場合、作業が4~5月、9月下旬~10月に集中し、この期間、主たる従事者の出役は限界に達しており、規模拡大は主たる従事者の労働時間の増加ではなく、雇用労働時間の増加となる。そのため、組織内で主たる従事者の所得の向上には結びつかない。
- 主たる従事者の所得確保が可能であるモデルを検討すると、「稲作+大豆」では、複合部門を個別で行い、総合して所得を得る「個別経営併用方式」、少数で構成する農業生産法人と農地利用調整組織からなる「重層的組織方式」がモデルとなる。(図1、表3)
- 「1農場完結方式」では、冬期作目を組み合わせることで、主たる従事者の所得としては県目標をクリアすることが可能である(図1、表3)
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成果の活用面・留意点 | - 集落営農組織育成に向けた合意形成場面における情報提供として活用できる。
- 産地の状況に応じた利益係数を設定したモデルに変更しての活用が望ましい。
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具体的データ |
表1 |
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表2 |
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図1 |
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表3 |
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予算区分 | 県単 |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 | 齋藤了、澁谷功 |
発行年度 | 2005 |
収録データベース | 研究成果情報 |