LCA手法による水稲不耕起移植栽培の温室効果ガス排出削減効果の評価

LCA手法による水稲不耕起移植栽培の温室効果ガス排出削減効果の評価

タイトルLCA手法による水稲不耕起移植栽培の温室効果ガス排出削減効果の評価
要約不耕起移植栽培は代かき移植栽培に比べ、二酸化炭素に換算して約1,800kgha-1の排出削減効果がある。これは主としてメタン発生量の低減に起因し、耕起、専用田植機、除草剤など作業体系の影響は小さい。無代かき移植栽培の地球温暖化への影響は代かき栽培と同等である。
キーワードイネ、LCA、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、土壌呼吸、地球温暖化
担当機関秋田農試 生産環境部 環境調和担当
連絡先018-881-3330 / hisatomi@pref.akita.lg.jp / hisatomi@pref.akita.lg.jp
区分(部会名)共通基盤
区分(部会名)東北農業
分類技術、参考
背景・ねらい水稲不耕起移植栽培は、代かき濁水を排出しないことによる水質保全に加えて、耕起の省略による燃料の節約、水田からのメタン排出量が小さくなることによる大気保全、水生生物の保全など、多面的な環境保全効果が期待されている。一方、耕起しないために部分耕起できる専用田植機の整備や耕起前の非選択性除草剤の散布など、温室効果ガスの発生量が高くなる要因もある。そこで、ライフサイクルアセスメント(LCA)手法を導入して、耕起方法の違いによる地球温暖化への影響の違いを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 地球温暖化への影響を比較する際の想定条件を細粒質グライ土水田の大規模経営とした(表1)。耕起方法の違いによる玄米、わら収量への影響は小さい。
  2. 代かき移植栽培の作業体系と比較すると、不耕起移植栽培では非選択制除草剤の散布を行うが、耕起、代かき作業がなく、無代かき移植では耕起後、砕土作業を行う(図1)。
  3. 不耕起移植栽培では、土壌が酸化的に推移し、メタン発生量が代かき栽培の約6割となる(図2)。無代かき移植のメタン発生量、土壌酸化還元電位(Eh)は代かき栽培と同等である。
  4. 不耕起移植栽培では、耕起、代かきの省略による燃料の節約効果が、不耕起田植機の重量増加、非選択性除草剤の散布に起因する燃料消費より大きく、代かき移植栽培に比べ二酸化炭素の発生量がhaあたり30kg程度削減される(表2)。
  5. 水田からの温室効果ガス収支に対して、耕起方法の違いはメタン発生量において最も大きな影響がある(表2)。亜酸化窒素発生量はメタン発生量に比べて1割以下の影響しかなく、土壌からの二酸化炭素発生量(土壌呼吸)は耕起方法に関わらずほぼ同じである。
  6. 耕起方法の違いによる地球温暖化への影響について、作業、資材、温室効果ガス排出量をあわせて考えると、不耕起移植栽培は代かき移植栽培に比べ、二酸化炭素として約1,800kgha-1程度の排出削減効果がある(表2)。一方、無代かき移植栽培の地球温暖化への影響は、代かき栽培と同等と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 不耕起栽培を7~8年継続するとメタン排出量が代かきよりも高くなった事例が報告されているが、長期の継続は、雑草の制御、不等沈下などの問題があり前提条件としていない。
  2. 土壌の鉄含量が高い場合、代かき栽培のメタン排出量が抑制されて不耕起栽培より小さくなる事例が報告されているが、本試験のメタン排出量は、日本の水田として平均的な値であり、中干し直前の水田土壌の活性二価鉄含量もメタン排出量が抑制された場合より低い。
  3. LCAでは、製品の原材料の採取、製造、使用、処分まで生涯を通じての環境影響を評価する。本成果では、作業、資材、水田からの温室効果ガス発生量の違いを検討している。
具体的データ
表1
図1
図2
表2
予算区分指定試験
研究期間2004~2005
研究担当者原田久富美、小林ひとみ、進藤勇人
発行年度2005
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat