タイトル | 東北地域での栽培に適する赤米糯新品種「夕やけもち(奥羽赤糯388号)」 |
要約 | 水稲「夕やけもち」は、早生で耐冷性が強く東北地域での栽培に適する赤米糯系統である。一般糯品種並の収量があり、ふ先色が紫色で一般品種との識別性がある。一般糯玄米と比較して、食物繊維、タンニン、カテキン等を多く含む。 |
キーワード | イネ、夕やけもち、赤米糯、東北地域、識別性 |
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター 水田利用部 稲育種研究室 |
連絡先 | 0187-66-2773 / myama@affrc.go.jp / myama@affrc.go.jp |
区分(部会名) | 作物 |
区分(部会名) | 東北農業 |
専門 | 稲 |
専門 | 水稲 |
分類 | 技術、普及 |
背景・ねらい | 近年、有色米への関心が高まるとともに、各地で在来種、改良品種が栽培されている。東北地域で普及している赤米品種として改良粳品 種の「紅衣」(2002年)があるが、有色米を扱う業者からは利用範囲が粳よりも広い赤米糯に対する要望が高まっている。今までに育成された赤米糯品種の 中で、「つくし赤もち」(1995年)、「あかおにもち」(2003年)、「紅染めもち」(2004年)は晩生の熟期で東北地域では栽培できず、「紅香」 (2001年)は糯の香り米であるため、用途が限られる。そこで、東北地域での栽培に適する赤米糯品種を早期に育成する。 |
成果の内容・特徴 | - 「夕やけもち」は、早生で多収の糯品種「たつこもち」と多収の赤米粳系統「羽系586(紅衣)」を1998年に交配し、その後選抜固定を図ってきた赤米糯系統である。
- 出穂期と成熟期は、育成地では“早生の晩”に属する。短強稈で倒伏に強く、脱粒しにくいため、一般品種と同様に機械化体系での栽培が可能である。ふ先色は紫色で、出穂後であれば一般品種との識別ができる(表1)。
- 耐冷性は“強”、穂発芽性は“中”、いもち耐病性は葉いもち、穂いもちとも“やや弱”である。玄米重は「たつこもち」と同程度で、一般糯品種並の収量がある(表1)。
- 「たつこもち」の玄米と比較して、食物繊維、ナトリウム、ナイアシン、アントシアニジン、タンニン、カテキンの含量が高い(表2)。餅の食味は、玄米では色が濃く味が劣るが、搗精すると色合いも良く食味は比較的良好になる(表3)。
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成果の活用面・留意点 | - 赤飯、赤粥、雑穀飯等の着色米飯、赤餅、赤米醸造酒等の加工用への利用が期待される。東北地域中南部の有色米品種導入地域での普及が見込まれる。
- 一般品種への混入を防ぐために、播種、移植時に種子や苗が混入しないように注意するとともに、収穫時、脱穀調製時にも専用機械を用いる等の対策が必要である。また、出穂期が近い一般品種の周辺では、自然交雑の可能性があるので注意が必要である。
- 栽培適地は、東北地域やそれ以南である。いもち耐病性が弱いため、適正施肥、適期防除に努める。
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具体的データ |
表1 |
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表2 |
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表3 |
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予算区分 | ブラニチ5系 |
研究期間 | 1998~2005 |
研究担当者 | 山口誠之、片岡知守、遠藤貴司、中込弘二、滝田 正、横上晴郁、加藤 浩 |
発行年度 | 2005 |
収録データベース | 研究成果情報 |