タイトル | 養豚廃水の活性汚泥処理施設においてアナモックス菌はどこに生息するか |
要約 | 養豚廃水の活性汚泥処理施設においてpHが中性付近の汚泥にアナモックス菌が高い確率で存在する。アナモックス菌は、曝気槽内浮遊汚泥、曝気槽内担体付着生物膜、最終沈澱処理槽内汚泥に広く分布する。 |
キーワード | 養豚廃水、アナモックス、pH |
担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 浄化システム研究チーム |
連絡先 | 029-838-8677 |
区分(部会名) | 畜産草地 |
分類 | 参考、技術 |
背景・ねらい | アナモックス反応は亜硝酸とアンモニアのカップリングにより窒素ガスを発生させる微生物による新規窒素除去反応である。養豚廃水は窒素負荷が高いためアナモックス反応を用いた処理を適用させることが期待されている。養豚廃水用のアナモックスリアクターを構築するためには、そのリアクター立ち上げ時の種汚泥を採取するために養豚廃水処理施設内でのアナモックス菌の生息場所を明らかにする必要がある。そこで養豚廃水処理施設内の汚泥についてアナモックス菌の存在を調査しその存在傾向を解析する。 |
成果の内容・特徴 | - 調査は肥育豚換算で600-20000頭を飼養し、表1に示す特徴を持つ養豚農家の廃水用活性汚泥処理施設についておこなった。一連の処理施設内におけるアナモックス活性の分布について調査した結果を示す(表2)。アナモックス活性が存在する場合、活性は施設内の曝気槽内浮遊汚泥、曝気槽内担体付着生物膜、最終沈澱処理槽内汚泥に広く分布していた。
- 養豚廃水活性汚泥処理施設の汚泥のアナモックス活性を農家間で比較した結果を示す(図1-3)。アナモックス活性を示すサンプルと示さないサンプルの間ではpHおよび硝酸・亜硝酸濃度の和が有意に異なる (P≦0.05)。pHが6.6-8.1のサンプルにはアナモックス活性が12サンプル中9サンプルのように高い確率で存在するが、pHが8.2以上のサンプルにはアナモックス活性が存在しない傾向がある(図1)。アナモックス菌が存在するサンプルでは存在しないサンプルに比べて硝酸態窒素濃度と亜硝酸態窒素濃度の和が高い傾向がある(図2)。回分式活性汚泥にはアナモックス菌が存在しない確率が高い(図3)。
- 養豚廃水処理施設の汚泥の通常得られる物性の範囲では、アナモックス活性を持つ汚泥と持たない汚泥の間で曝気槽への流入水のBOD/NH4+比、曝気槽内溶存酸素濃度、硝酸態窒素濃度単独、亜硝酸態窒素濃度単独、アンモニア態窒素濃度、遊離アンモニア (NH3) 濃度、遊離亜硝酸 (HNO2) 濃度の差は見られない。
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成果の活用面・留意点 | - 養豚廃水処理施設からアナモックス菌の種汚泥を採取する際の、場所選定条件として利用することができる。
- 養豚廃水処理施設汚泥のアナモックス活性の強度は僅かな場合が多いため、種汚泥として採取した汚泥はそこからアナモックス菌を集積した後にアナモックス処理として利用する必要がある。
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具体的データ |
表1 |
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表2 |
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図1 |
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図2 |
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図3 |
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予算区分 | 基盤 |
予算区分 | 委託プロ(公害一括) |
予算区分 | 科研費 |
研究期間 | 2007~2009 |
研究担当者 | 和木美代子、安田知子、鈴木一好、坂井隆宏(佐賀県)、鈴木直人(沖縄県)、鈴木良地(愛知県)、松葉賢次(宮崎県)、横山浩、荻野暁史、田中康男、上田眞吾(日大)、竹内美緒(産総研)、山岸昂夫(産総研)、諏訪裕一(中大) |
発表論文 | Waki et al.(2010)Bioresour.Technol:101:2685-2690 |
発行年度 | 2009 |
収録データベース | 研究成果情報 |