豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス抗体検出ELISAでの偽陽性反応の確認法

豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス抗体検出ELISAでの偽陽性反応の確認法

タイトル豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス抗体検出ELISAでの偽陽性反応の確認法
要約豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス抗体検出ELISAキットで観察される偽陽性反応は、ウイルス抗原が関与しない抗原抗体反応による現象であり、ウイルス抗原あるいは特異抗体を用いた競合反応により真陽性反応と区別できる。
キーワード豚繁殖・呼吸障害症候群、血清学的検査、偽陽性、ELISA
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 ウイルス病研究チーム
連絡先029-838-7708
区分(部会名)動物衛生
分類参考、技術
背景・ねらい豚の感染症である豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)の血清学的検査にはI社のELISAキットが多くの国で用いられている。このELISAには疫学状況などから明らかに感染が否定される豚の血清にもかかわらず陽性と判定される、いわゆる「偽陽性」反応が時に認められることから、その場合は間接蛍光抗体法(IFA)などによる確認検査が必要になる。そこで、本ELISAにおける偽陽性反応の特性を調べ、真陽性を簡便に確認できる方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. ELISAキットでの偽陽性反応は、血清材料添加前のブロッキング液*によるブロッキング、あるいはキット添付の血清希釈液ならびにHRPO標識抗豚IgGへのブロッキング液の添加によっても除去されず、非特異的結合反応ではなく抗原抗体反応によるものと考えられる。
    *;0.05%Tween-20加1%BSA加PBSあるいは0.05%Tween-20加5%脱脂粉乳加PBS
  2. 偽陽性反応を示す血清材料でのPRRSウイルス(PRRSV)抗体の確認方法として、ウイルス抗原による競合試験(抗原競合法)と血清中の特異抗体に対する競合試験(抗体競合法)を提示する。抗原競合法は、被検血清をウイルス抗原と混合して1時間反応させ、以降はキットの操作法通りに実施する。抗体競合法には、キット添付のHRPO標識抗豚IgGの代わりにHRPO標識抗PRRSVモノクローナル抗体(SR-30)を用いる(図1)。
  3. ELISAキットでの陽性血清88例、陰性血清33例、および偽陽性血清73例を用いて抗原競合法、抗体競合法およびIFAにより抗体検査を実施した。偽陽性血清はIFAで100%、抗原競合法で93%および抗体競合法で96%が陰性となり、陰性血清の97%は抗体競合法で陰性を示した(図2)。陽性血清での陽性率は、抗原競合法(98%)ならびに抗体競合法(94%)がIFA(91%)に比べて高かった。これらのことから、抗原競合法ならびに抗体競合法は真陽性血清と偽陽性血清を区別する上での補助検査として有用であると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 今回実施した抗原競合法ならびに抗体競合法は、ELISAキットの術式に変更を加えるもので、IFAで必要な培養細胞を用いる必要がないため、より簡便な方法として有用である。
  2. 偽陽性反応か否かの最終判定は、提示した方法に加えて疫学状況、同居豚の検査結果、PCR検査成績などを総合して実施する必要がある。
  3. PRRSVは大きく北米型とEU型に区別されるが、抗原競合法やIFAでは両型のウイルスを抗原として用いる必要がある。
具体的データ
図1
図2
予算区分実用技術
研究期間2006~2008
研究担当者恒光 裕、沖永龍之、山岸 健(日本全薬)、吉井雅晃、宮崎綾子、鈴木孝子、高木道浩、山根逸郎、芝原友幸、久保正法、小林秀樹、石川弘道(JASV)、呉 克昌(JASV)
発表論文Okinaga T. et al. (2009) Vet. Rec. 164(15):455-459
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

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