牛呼吸器病原因菌Mannheimia haemolyticaのキノロン系薬剤耐性

牛呼吸器病原因菌<i>Mannheimia haemolytica</i>のキノロン系薬剤耐性

タイトル牛呼吸器病原因菌Mannheimia haemolyticaのキノロン系薬剤耐性
要約M. haemolyticaのキノロン系薬剤耐性株は、1~3箇所のアミノ酸置換がキノロン耐性決定領域で起こっている。フルオロキノロン系薬剤耐性株は全て多剤耐性を示し、また、血清型および遺伝子型が同一であり、非常に近縁な菌株と考えられる。
キーワード牛、キノロン耐性、呼吸器病、多剤耐性、遺伝子型
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所 環境・常在疾病研究チーム
連絡先029-838-7708
区分(部会名)動物衛生
分類研究、参考
背景・ねらい1991年に獣医療域での使用が認可されたフルオロキノロン系薬剤は、牛呼吸器病の主要原因菌であるM. haemolyticaに対して非常に高い効果が期待できる抗菌剤である。しかし、近年、本剤に低感受性から耐性を示す菌株の分離が報告されている。フルオロキノロン系薬剤に対する耐性はトポイソメラーゼ遺伝子のキノロン耐性決定領域(QRDR)の塩基置換により生じることが知られているが、M. haemolyticaの本領域を解析した報告は極めて限られている。本研究では、M. haemolyticaのキノロン系薬剤、フルオロキノロン系薬剤等に対する薬剤感受性を測定し、本菌の薬剤感受性動向並びにフルオロキノロン系薬剤耐性株におけるQRDRの変異について解析する。
成果の内容・特徴
  1. 984年から2009年に分離された呼吸器病罹患牛由来M. haemolytica 407株の内、133株(32.7%)がキノロン系薬剤(ナリジクス酸)に、このうち、39株(9.6%)がフルオロキノロン系薬剤(エンロフロキサシンおよびダノフロキサシン)にも耐性を示す。
  2. フルオロキノロン系薬剤耐性株は全て2002年以降に分離された株で、間接赤血球凝集反応による血清型別で血清型6型に分類される。また、パルスフィールド電気泳動法による遺伝子型別でも同一泳動パターンを示す(図1)。
  3. フルオロキノロン系薬剤に耐性を示す全ての株は、チアンフェニコール、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレプトマイシンおよびオキシテトラサイクリンにも耐性を示す多剤耐性株で、ホスホマイシンやペニシリン系薬剤に耐性を示す株も認められる(表1)。
  4. キノロン系薬剤(ナリジクス酸)耐性でフルオロキノロン系薬剤に感受性の株は、parCまたはgyrAのQRDR領域の点変異に基づくアミノ酸置換が1~2箇所認められ、キノロン系薬剤およびフルオロキノロン系薬剤耐性株では、QRDR領域のアミノ酸置換が3箇所認められる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. キノロン系薬剤(ナリジクス酸)耐性株では、フルオロキノロン系薬剤の感受性の有無に関わらず、QRDR領域にアミノ酸置換が認められる。また、フルオロキノロン系薬剤耐性株は多剤耐性を呈する可能性が非常に高いため、キノロン系薬剤(ナリジクス酸)耐性を確認した症例ではフルオロキノロン系薬剤の使用を慎重に行うべきである。
  2. フルオロキノロン系薬剤耐性株は全て血清型6型に分類され、さらにパルスフィールド電気泳動法により同一の遺伝子型と判別されるため、非常に近縁な菌株と考えられる。
具体的データ
図1
表1
表2
予算区分基盤
研究期間2008~2009
研究担当者勝田 賢、河本麻理子、三上 修、内田郁夫
発表論文Katsuda K. et al. (2009) Vet. Microbiol. 139(1-2):74-79
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

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