消化液の液肥利用を行うメタン発酵システムの温室効果ガス排出量

消化液の液肥利用を行うメタン発酵システムの温室効果ガス排出量

タイトル消化液の液肥利用を行うメタン発酵システムの温室効果ガス排出量
要約消化液を液肥利用するメタン発酵システム(原料投入量5t/日)の温室効果ガス排出・削減量を実績値に基づいて算定する。対象としたシステムでは消化液輸送・散布過程での排出量が多く、排出量削減のためには近傍圃場への散布量を増やすことが有効である。
キーワードメタン発酵、消化液、温室効果ガス、畑地、亜酸化窒素、輸送・散布
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 農村総合研究部 資源循環システム研究チーム
連絡先029-838-7508
区分(部会名)農村工学
区分(部会名)バイオマス
分類研究、参考
背景・ねらいメタン発酵により生成されるメタンを化石エネルギーの代替として利用することにより温室効果ガスの排出を削減できるが、同時に生成するメタン発酵消化液を処理・利用する過程で温室効果ガスが排出される。本研究では、消化液をほぼ全量液肥として利用しているメタン発酵システムの温室効果ガス排出・削減量を2008年の実績値に基づいて算定し、同システムの温室効果ガス発生特性および削減方策について明らかにする。なお、消化液の液肥利用に伴う温室効果ガス排出には、消化液の輸送・散布に伴う温室効果ガス排出、消化液を散布した農地土壌からの亜酸化窒素(N2O)の発生等がある。
成果の内容・特徴
  1. 対象としたメタン発酵プラント(図1)は中温発酵で、原料投入量は5t/日である。消化液輸送・散布には、バキューム車(消化液輸送用、タンク容量3.7t)、2tトラック(液肥散布車輸送用)、液肥散布車(タンク容量1.6t)を用いる。2008年の消化液散布面積は60.4ha、圃場までの平均輸送距離は12.1kmである。
  2. メタン発酵過程の消費電力量は7.3kWh/原料1tであり、それに伴う温室効果ガス排出量は3.06kg-CO2eq./原料1tである。
  3. バキューム車、2tトラック、液肥散布車の走行に伴う温室効果ガス排出量は、それぞれ3.75kg-CO2eq./原料1t、1.24kg-CO2eq./原料1t、1.58kg-CO2eq./原料1tである。
  4. 消化液散布量と消化液を散布した畑地圃場で測定したN2Oの排出係数から、土壌からのN2O発生に伴う温室効果ガス排出量は、1.46kg-CO2eq./原料1tである。
  5. 2~4で算定した各過程での温室効果ガス排出量を合計すると、11.1kg-CO2eq./原料1tとなる。この値は、生成されるバイオガスの全量をコジェネレーションの燃料として利用した場合の温室効果ガス排出削減量、10.9kg-CO2eq./原料1tとほぼ同等である(図2)。
  6. 各過程での温室効果ガス排出量の合計値に対するメタン発酵過程、輸送・散布過程、農地からの発生過程の割合は、それぞれ28%、59%、13%であり、輸送・散布過程での排出量が多い。このプラントでは圃場までの平均輸送距離が12.1kmと長いため、排出量のさらなる削減のためには近傍圃場への散布量を増やすことが有効である。仮に平均輸送距離を5kmまで短縮できれば、温室効果ガス排出量は現状より26%削減できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究は試算の一例であり、消化液の輸送距離、散布量等の条件を変更して試算することも可能である。
  2. 本研究の試算には、消化液を化学肥料の代替として利用すること等による間接的な温室効果ガス排出削減量は含まれていない。
  3. 本研究の結果と牛ふん尿を堆肥化した場合等の温室効果ガス排出量を比較することにより、メタン発酵導入に伴う相対的な温室効果ガス排出削減効果を試算できる。
具体的データ
図1
図2
図3
予算区分委託プロ(バイオマス)
研究期間2007~2011
研究担当者中村真人、柚山義人、山岡 賢、清水夏樹、折立文子、阿部邦夫、相原秀基(農事組合法人和郷園)
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

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