登熟期の気象および水稲生育情報に基づいた乳白粒発生リスク評価指標

登熟期の気象および水稲生育情報に基づいた乳白粒発生リスク評価指標

タイトル登熟期の気象および水稲生育情報に基づいた乳白粒発生リスク評価指標
要約登熟期の気象および水稲生育情報を用いて推定したヒノヒカリの籾あたり乾物生産量と乳白粒の発生率との相関は高く、籾あたり乾物生産量をリスク評価指標として用いることによりヒノヒカリの乳白粒の発生状況を把握することができる。
キーワードRUE、気象情報、乳白粒、ヒノヒカリ、籾あたり乾物生産量
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 暖地温暖化研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター 農業気象災害研究チーム
連絡先096-242-7766
区分(部会名)共通基盤
区分(部会名)九州沖縄農業
専門農業気象
専門生産環境
分類参考、技術
背景・ねらい九州でも、乳白粒の多発により外観品質が低下し、大きな問題となっている。収穫前に発生状況を予測できれば、対応施策に際し有益な情報を提供することができる。そこで、乳白粒の発生状況を把握するための、発生に関わる登熟期の気象条件、葉色、籾数を考慮した乳白粒発生リスク評価指標を提示する。
成果の内容・特徴
  1. 乳白粒の発生は、籾あたりの乾物生産量が少ないことにより発生率が増加すると考えられていることから、(1)式で籾あたり乾物生産量を評価する。
    DMG = SR×α×RUE / Gr (1)

    ここで、DMGは登熟期の籾あたりの乾物生産量(g/粒)、SRは登熟期の日射量(MJ/㎡)、αは出穂期のLAIから推定した群落の日射吸収率(堀江ら、1985)、RUEは登熟期の日射転換効率(g/MJ)、Grは㎡あたり籾数である。
  2. 登熟期の気温が高いほどRUEは低く、また出穂期の葉身のSPAD値が高いほどRUEは高く保たれた(図1)。登熟期の気温と葉身のSPAD値に基づいたRUE推定式を表1に示した。RUE推定式は、乳白粒発生に関わる高温による同化産物の消耗や葉色の影響を表すことができる。RUEは、2005年と2006年に「コシヒカリ」を対象に茨城県、栃木県、長野県の農家水田で実施した生育・収量調査データとアメダスデータを以下の(2)式に代入し求めた。
    RUE=DM/SR×α (2)
    ここで、DMは玄米収量(水分0%)、SRは登熟期の日射量(MJ/㎡)、αは出穂期のLAIから求めた群落の日射吸収率である。
  3. コシヒカリから導いたRUE推定式は、「ヒノヒカリ」に適用可能か検討した結果、乾物生産量の推定精度はRMSEで63.6kg/10aと十分な精度であった(図2)。なお、RUE推定式で「ヒノヒカリ」の乾物生産量を推定する場合、推定値に0.71を乗ずる必要がある。
  4. 「ヒノヒカリ」の生育・収量調査データと登熟期の各期間の気象データを用いて計算したDMGと乳白粒発生率との相関は、出穂期から16日目~25日目の気象データを用いた場合が最も高く(R2=0.65)、DMGが少ないほど乳白粒の発生率が高かった(図3)。DMGを乳白粒発生リスク評価指標として発生状況を把握することができる。また、図中のDMGと乳白粒発生率(IMWK、%)との関係は(5)式の通りである。
    IMWK=52.3×exp(~599.9×DMG) (5)
成果の活用面・留意点
  1. DMGの算出には2007~2008年に九州内の農家水田で栽培されている「ヒノヒカリ」の生育・収量データとアメダスデータを、玄米外観品質の判定には穀粒判別器(RGQI20A、サタケ)を用いた。
  2. RUEは、一般的にはある期間の乾物生産量を群落の日射吸収量で割ったものであるが、今回は乾物生産量の代わりに玄米重を用いた。
  3. (1)式の出穂期のαの推定に必要なLAIは草丈、茎数、移植密度から推定が可能であり、また籾数は出穂期の草丈、茎数、移植密度、葉色(SPAD値)を用いて収穫前に推定できる(小林、1991)。
  4. 日射量は、アメダスの日照時間から推定した(近藤ら、1991)。
具体的データ
表1
図1
図2
図3
予算区分基盤
予算区分実用技術
研究期間2007~2009
研究担当者脇山恭行、大原源二、藪押睦幸(宮崎総農試)、田中明男(鹿児島農開総セ)、森田 敏、丸山篤志
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

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