超音波発振装置を利用したモモ等果実のヤガ類防除技術

超音波発振装置を利用したモモ等果実のヤガ類防除技術

タイトル超音波発振装置を利用したモモ等果実のヤガ類防除技術
要約コウモリの発する超音波に似た特性を持つ断続的パルス音を発振する装置を、モモ園地に設置することにより、ヤガ類の侵入を阻止して果実への加害を防ぐ技術。
キーワード超音波、ヤガ類、果樹、防除、中山間地
担当機関(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター 生産システム研究部 生育管理システム研究
連絡先048-654-7000
区分(部会名)共通基盤
専門作業技術
分類技術、普及
背景・ねらい果樹園では夜間にヤガ類が飛来し、モモ、ナシ、リンゴ等の果実を吸汁して傷(吸汁痕)をつけ果樹生産に甚大な被害を与えるため、大きな問題となっている。特に中山間地域における中小規模の果樹園では小規模だが高品質の果実を生産する園地が数多くあり、経営規模が小さい分、経済的な損失の比率が大きくなるため、ヤガ類は重要な防除対象害虫である。ヤガ類は近隣の雑木林で生育し、成虫になると夜間に果樹園へ飛来して加害するため、農薬散布による防除が困難である。このため、防ガ灯(黄色蛍光灯やナトリウムランプ等)が利用されている場合もあるが、圃場の立地条件等によっては、防ガ灯だけでは防除効果が不十分との報告がある。そこで、ヤガ類が天敵であるコウモリの超音波を感知した際にとる忌避行動を利用し、人工的にコウモリに似た超音波を発振する装置を開発するとともに、これを利用した中山間地果樹園のモモ等果実に対するヤガ類防除技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 超音波発振装置はコウモリの発する超音波に似た特性を持つ超音波(周波数40kHzの断続的パルス音波)を電気的信号から人工的に生成する装置(出力アンプ装置100W)と、その装置に接続して超音波を発振する磁歪フェライト型超音波振動子からなる装置である(図1)。本装置は出力アンプ装置1台に対して磁歪フェライト型超音波振動子1~4個を接続して100V/ACの電源で使用し、振動子から最も効果の高い平均音圧レベル105dBの超音波をタイマー式の切替器を介して断続的に発振する。
  2. 本装置は、超音波振動子を、モモ果樹園(面積約200㎡)周囲を囲むように高さ約2mの位置に3.5~4m間隔で設置し、合計16基(出力アンプ4組とタイマー式切替器4組)設置する。音圧レベルは園地外周から2mの位置で平均105dBになるように設定し、午後7時から翌朝午前5時まで4基1組で1.5s毎に順次切り替えて超音波を発振する。
  3. 本装置をモモ果樹園に設置した場合、8月上旬から9月上旬までの間に、超音波区におけるヤガ類飛来数(夜間に測定対象樹のモモ果実へ飛来するヤガ類の頭数を調査)は、無処理区と比較して約1/20まで抑制できる(図2)。
  4. ヤガ類による被害果率が90%程度に達したモモ果樹園に、本装置を設置した場合、モモ果実の被害果率は10%以下に減少し、また被害果率100%の条件下でもおよそ30%以下に抑制できる(図3)。
  5. 本装置をモモ果樹園に設置した場合、果実の被害痕数及び被害果率は、同園地に防ガ灯(ナトリウムランプ)を設置した場合に比べて低減可能であり、防除効果は防ガ灯と同程度以上である(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. コウモリに似た超音波を発振する装置の利用によって、農薬による防除が困難なヤガ類の防除が可能となり、果樹園におけるヤガ類の被害が軽減される。特に、ヤガ類の多い中山間地等においては、収益性の高い果樹の栽培が可能になる。
  2. 超音波発振装置を使用する場合、10a当たり約30基必要であり、圃場にAC100V 1Aの電源が必要である。
  3. 本装置は市販化の予定である。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分経常
予算区分所内特研
予算区分実用技術
研究期間2006~2009
研究担当者吉田隆延、水上智道、牧野英二、臼井善彦、宮原佳彦、太田智彦、猪之奥康治、中西友章(徳島農総セ)、小池 明(徳島県農林水産部)、松村澄子(山口大学)、渡辺雅夫(山口大学)、ヤンマー(株)、ニューデルタ工業(株)
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

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