再生産力の向上を目的としたアワビ類の資源管理・増殖技術の開発

再生産力の向上を目的としたアワビ類の資源管理・増殖技術の開発

タイトル再生産力の向上を目的としたアワビ類の資源管理・増殖技術の開発
要約低迷している北海道のエゾアワビ資源を回復するために必要な親貝集団の規模等について,大型人工種苗を用いて人為的に産卵集団を造成し,周辺の加入量への波及効果を検討しました。
担当機関北海道立中央水産試験場 水産工学室 生態工学科
連絡先0135-22-2567
区分(部会名)水産
専門増養殖技術
研究対象あわび
分類調査
背景・ねらい北海道におけるエゾアワビ漁獲量は、1970年以降減少を続け、現在は100トンを切って低迷しています。親貝の減少は単に産卵数が減るだけでなく、産卵時の雌雄間距離が遠くなることで、受精率が低下することが報告されています。そのため、資源回復を図る上で、親貝密度の増強と大型貝集団の形成が重要です。そこで、密漁監視など漁業者自身が管理しやすい漁港周辺を禁漁区として、殻長50mmの大型人工種苗を用いて人為的に親貝集団を形成することで、周辺に加入する当歳稚貝量への波及効果を調べました。放流貝由来稚貝の判別には、マイクロサテライトDNAマーカー(養殖研究所担当)を用いました。
成果の内容・特徴2002年から2007年まで、殻長50~70mmの大型人工種苗を計25,000個体放流した結果、産卵時期の平均親貝密度は放流前の0.09個体/㎡から2006年には1.28個体/㎡と約14倍に増加しました(図1)。秋と冬の当歳貝密度は、親貝の増減に対応して変化する傾向がみられました(図2、3)。しかし、養殖研究所でマイクロサテライトDNAマーカーを用いて解析した当歳稚貝に占める放流貝由来率は12~20%と低い値でした。このことは、人工種苗の再生産能力が天然貝に比べて低い、あるいは実験漁場で放流貝から生まれた浮遊幼生が他の海域に流失している可能性を示唆しています。放流貝由来率を用いて推定した実験漁場周辺での放流貝由来稚貝密度は、親貝の殻長組成から推定した放流貝の総産卵数と有意な相関関係を示しました(図4)。
成果の活用面・留意点閉鎖的漁場において、親貝密度の増加が周辺への当歳貝加入量に影響する可能性が示唆されました。しかし、磯焼けを呈する北海道南西部日本海沿岸で、高密度の親貝集団を造成するためには、藻場造成を行い十分な餌料環境を保障する必要があります。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分(独)水産総合研究センター交付金プロジェクト研究
研究期間2001~2006
2007~2007
研究担当者干川裕(中央水産試験場水産工学室)、金田友紀(中央水産試験場水産工学室)、高橋和寛(資源増殖部)
発表論文1)干川裕ら:ホタテガイ貝殻リングを用いたエゾアワビ当歳貝の生息量評価(短報).日水誌71(1) 83-85,2005.
2)干川裕ら:エゾアワビ当歳稚貝量に及ぼす親貝密度の影響. 水研報 別冊5号 119-126,2006.
3)干川裕・原 素之:エゾアワビ放流種苗の再生産への貢献. 月刊海洋 457 534-537,2008.
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

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