大陸棚-黒潮系水域生態系におけるマイクロネクトンの役割の解明

大陸棚-黒潮系水域生態系におけるマイクロネクトンの役割の解明

タイトル大陸棚-黒潮系水域生態系におけるマイクロネクトンの役割の解明
要約東シナ海のマイクロネクトンが重要浮魚類の資源変動に及ぼす影響を明らかにするため、東シナ海域を代表するハダカイワシ科4種(イワハダカ、サガミハダカ・ヒロハダカおよびハダカイワシ)を主対象魚種として、分布、成長、成熟特性及び食性について研究を行い、これらの魚種について産卵時期、初期成長、日間摂餌量、現存量などの知見を得た。
担当機関(独)水産総合研究センター 西海区水産研究所 東シナ海漁業資源部 資源生態研究室
連絡先095-860-1636
区分(部会名)水産
専門資源生態
研究対象浮魚
分類研究
背景・ねらい東シナ海ではハダカイワシ類をはじめとするマイクロネクトンの現存量は浮魚類(アジ類・サバ類・イワシ類)よりも多く、一部は浮魚類と同所的に分布している。そのため、浮魚類との生態的な競合が想定される。本課題では、東シナ海におけるマイクロネクトンの種組成、生活史、成長・成熟および摂餌生態を明らかにし、それらが水産有用種を含む東シナ海域生態系で果たす役割を評価することを目的とした。
成果の内容・特徴(1)調査船調査による漁獲組成から、東シナ海域でのマイクロネクトン群集の中で、イワハダカ(陸棚群集)、サガミハダカ・ヒロハダカおよびハダカイワシ(いずれも陸棚縁辺群集)が鍵種である事が明らかになった。(2)生殖腺の観察によりハダカイワシでは体長約100mm以上で成熟が開始することが明らかとなり(図1)、主産卵期は6~8月と推定された。(3)イワハダカの耳石日輪数と体長の関係を求めたところ、ふ化後120日程度で成魚サイズ(標準体長35mm程度)にまで成長をすることが分かった(図2)。(4)九州西岸におけるサガミハダカとヒロハダカの日間摂餌量をサガミハダカでは体重当たり2.8%、ヒロハダカでは3.3%と推定した。(5)炭素・窒素安定同位体比による分析から、マアジ、サバ、イワシ類など浮魚類や陸棚群集のイワハダカに比べ陸棚縁辺群集であるサガミハダカ・ヒロハダカの値は低く、摂餌生態もしくは環境条件が異なることが推定された(図3)。(6)九州西岸においてハダカイワシ類の現存量が年により大きく変動することを明らかにし、その要因として黒潮流量の変化が関係することを示唆した(図4)。
成果の活用面・留意点マイクロネクトンとイワシ類、アジ、サバ類など水産上重要な浮魚類とは、餌(動物プランクトン)をはじめ様々な種間競合が生じていることが想定される。従って、マイクロネクトンの生物学的情報を集積して海洋生態系における地位を明らかにすることにより、水産上重要な浮魚類の資源変動要因の解明に寄与することが期待される。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分交付金(一般研究)
研究期間2006~2010
研究担当者佐々千由紀、田中寛繁、大下誠二、高橋素光、塚本洋一、酒井 猛、依田真里、由上龍嗣、白石哲朗
発表論文Tanaka, H., Takasuka, A., Aoki, I. and Ohshimo, S. (2008) Geographical variations in the trophic ecology of Japanese anchovy, Engraulis japonicus, inferred from carbon and nitrogen stable isotope ratios. Marine Biology, 154, 557-568.(他 口頭発表3編)
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

研究成果情報アクセスランキング

Copyright 2017 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat