有明海における大型クラゲ分布調査

有明海における大型クラゲ分布調査

タイトル有明海における大型クラゲ分布調査
要約「大型クラゲ」(エチゼンクラゲ)が日本沿岸域において定着・繁殖しているかどうかを検証するため、有明海において本種の分布調査を実施した。幼生調査と成体調査を行ったが、いずれにおいても本種は確認されず、有明海における定着・繁殖は無いと判断した。一方、河口域にヒゼンクラゲ・ビゼンクラゲの稚クラゲが出現したことから、これらの繁殖には河川(河口域)が関与すると考えられた。
担当機関(独)水産総合研究センター 西海区水産研究所 東シナ海海洋環境部 高次生産研究室
連絡先095-860-1621
区分(部会名)水産
専門生物生産
研究対象動物プランクトン
分類調査
背景・ねらい近年、「大型クラゲ」(エチゼンクラゲ Nemopilema nomurai)が日本近海に大量に来遊し大型化したことから、本種の日本沿岸域における定着・繁殖が懸念された。そこで中国沿岸域に環境が似ていると言われる有明海において、本種が定着・繁殖しているかどうかを検証するために、本研究を実施した。
成果の内容・特徴
  1. 幼生調査:平成20年5~8月に有明海のほぼ全域において(図1)、稚魚ネットの曳網による「大型クラゲ」の幼生採集調査を実施したが、採集されたクラゲ類は有明海に普通に分布する小型の種がほとんどで、「大型クラゲ」のエフィラ、メテフィラ等の幼生は1個体も出現しなかった(表1)。

  2. 成体調査:平成20年7~10月に湾奥(六角川河口)、湾中央・湾口近く(島原沖)で(図2)、それぞれアンコウ網調査を行ったが、いずれの調査においても「大型クラゲ」は確認されなかった。しかし、湾奥では同じ根口類のヒゼンクラゲ・ビゼンクラゲの稚クラゲが採集された(図3)。一方、湾中央・湾口近くでは大量のユウレイクラゲが入網し、沿岸漁業への影響が懸念された(図4)。

  3. その他の調査:佐賀県による固定刺し網調査および福岡県によるシゲ網・三角網調査でも「大型クラゲ」は確認されなかったが、筑後川河口域ではヒゼンクラゲの稚クラゲが採集された。
成果の活用面・留意点いずれの調査においても「大型クラゲ」が確認されなかったことから、有明海における本種の定着・繁殖は無いと結論づけられた。ただし、在来の根口類であるヒゼンクラゲ・ビゼンクラゲの稚クラゲが河口域に出現したことから、根口類の繁殖には河口域が関与することが示唆された。今後、これら在来種の生態特性解明が、「大型クラゲ」の発生予測や制御技術開発の重要な手がかりになると考えられる。
具体的データ
図1
表1
図2
図3
図4
予算区分政府受託費
研究期間2007~2008
研究担当者岡 慎一郎、西内 耕、清本 容子、中川 倫寿、協力機関:福岡県水産海洋技術センター有明海研究所、佐賀県有明水産振興センター、長崎県総合水産試験場、熊本県水産研究センター
発表論文1)S. Oka and N. Nakagawa (2008) Information about rhizostomid jellyfish distributed in the Ariake Sea, Japan. The 5th International Jellyfish Workshop (Abstract), p22.
2)岡 慎一郎ほか(2009)有明海における大型クラゲ分布調査、水産庁委託事業平成20年度大型クラゲ発生源水域における国際共同調査委託事業報告書、88-98.
発行年度2009
収録データベース研究成果情報

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