イネいもち病判別抵抗性品種としての準同質遺伝子系統群

イネいもち病判別抵抗性品種としての準同質遺伝子系統群

タイトルイネいもち病判別抵抗性品種としての準同質遺伝子系統群
要約ジャポニカ型のイネ品種麗江新団黒谷(LTH)およびインディカ品種CO 39を遺伝的背景とし、いもち病抵抗性遺伝子を一つのみ導入した準同質遺伝子系統群は、いもち病菌菌系の病原性判別抵抗性品種および育種素材として国際的に活用できる。
キーワードいもち病、判別抵抗性品種、準同質遺伝子系統群、イネ、レース
担当機関(独)国際農林水産業研究センター 生物資源領域
区分(部会名)国際農林水産業
分類研究
背景・ねらいイネのいもち病は、世界で毎年400~600万トンの減収を引き起こすと推定される重要病害である。このため抵抗性遺伝子を利用した防除技術開発の一環として、国際稲研究所(IRRI)における日本政府拠出金プロジェクトでは、国際的に利用できるイネいもち病菌レース判別抵抗性品種として一遺伝子系統群を開発し、世界各国に配布している。しかし、それらの系統は、1~3回の戻し交雑から育成され、系統間での農業形質の差異や、対象以外の抵抗性遺伝子が残っているなどの問題がある。それらの改善のため、ジャポニカ品種の麗江新団黒谷(LTH)およびインディカ品種のCO 39を反復親として、6回の連続戻し交雑により準同質遺伝子系統群を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ジャポニカ品種LTHを遺伝的背景とする20準同質遺伝子系統は、19の供与親からの異なる11種の抵抗性遺伝子が対象である(表1)。
  2. インディカ品種CO 39が遺伝的背景である27準同質遺伝子系統は、26の供与親からの異なる14種の遺伝子が対象である(表1)。
  3. 準同質遺伝子系統群は、100以上のSSRマーカーを用いた解析により、戻し交配親の遺伝的背景にほぼ置換しており、かつ抵抗性遺伝子が座乗する染色体領域の導入が確認できる。
  4. IRRIでの栽培試験では、出穂、稈長、穂長、株当り穂数、稔実歩合、籾重などの農業形質は、数系統を除いて戻し交配親とほぼ同じである(図1)。
  5. フィリピン産標準判別いもち病菌、20菌系の反応では、多くの系統で一遺伝子系統と同様な抵抗性反応を示す。
成果の活用面・留意点
  1. 育成した系統は、いもち病の国際標準判別抵抗性品種群として活用できる。
  2. CO 39を遺伝的背景とする系統群は、熱帯での栽培に適している。LTHを遺伝的背景にした系統群は、日本などの温帯地域では草丈が高くなり倒伏し易くなる。
  3. 系統群の解析に用いたSSRマーカー情報は、マーカーを用いた選抜に活用できる。
  4. CO 39 はPiaを保有しており、病原性反応パターンの判定にはこの遺伝子の効果を考慮する。
  5. Piz-tPiz-5Pi9を導入した系統は、出穂が晩生化する。
  6. 一遺伝子系統群にあり準同質遺伝子系統群にはない対象抵抗性遺伝子については、一遺伝子系統を用いる。
  7. 系統名は対象とする抵抗性遺伝子、供与親、および反復親を表す(例:IRBL9-W[LT]は、抵抗性遺伝子Pi9を、系統WHD-1S-175-1-127から、LTHの遺伝的背景に導入した系統)。
  8. これらの系統の種子は、国際農林水産業研究センターおよび国際稲研究所から入手可能である。
具体的データ
表1
図1
予算区分運営費交付金[イネ安定生産プロ・節水栽培プロ]
予算区分日本-IRRI共同研究プロジェクト第Ⅲ, Ⅳ, Ⅴ期[農林水産省拠出]
研究期間1994~2010
研究担当者小林伸哉、Mary Jeanie Telebanco-Yanoria(IRRI)、福田善通、小出陽平、加藤 浩(作物研)、井辺時雄(九州沖縄農研)
発表論文1)Mary Jeanie Telebanco-Yanoria et al. (2010) Breeding Science 60: 629-638.
2)Mary Jeanie Telebanco-Yanoria et al. (2011) Molecular Breeding 27:357–373.
発行年度2010
収録データベース研究成果情報

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