カタクチイワシの初期生残に及ぼす産卵特性の影響

カタクチイワシの初期生残に及ぼす産卵特性の影響

タイトルカタクチイワシの初期生残に及ぼす産卵特性の影響
要約カタクチイワシの産卵特性が卵・孵化仔魚の生残に及ぼす影響を飼育実験により調べた。産卵時の水温は受精卵のサイズおよび孵化仔魚の卵黄量の多寡に影響を及ぼすことが判明した。初期生残は卵サイズと発育水温に影響を受け、大型卵由来・低水温での発育は小型卵由来・高水温での発育よりも生残が良いことが示された。
担当機関(独)水産総合研究センター 中央水産研究所 資源評価部 生理特性研究室
連絡先045-788-7645
区分(部会名)水産
専門資源生態
研究対象いわし
分類研究
背景・ねらいカタクチイワシはほぼ周年にわたって産卵を繰り返すことが知られているが、日本周辺沿岸域における加入群の発生時期は春および秋を中心に認められることが報告されている。そこで本研究では、「カタクチイワシは低水温時に卵質の良い卵を産む」という仮説を立て、受精卵や孵化仔魚のサイズと水温の関係および無給餌下における卵・仔魚の生残実験などからその検証を試みた。
成果の内容・特徴飽食条件下において、産卵期間中における受精卵のサイズは水温によって変化し、水温が5℃上昇すると卵の平均体積は約80%小型化することが明らかとなった(図1)。一方、飼育水温の異なる親魚から産み出された受精卵の孵化仔魚の全長と卵黄体積の関係にも違いが認められ、孵化仔魚の全長が同じでも、低水温由来の仔魚は高水温由来に比べ、より大きな卵黄を有していた。

異なる水温由来の受精卵を複数の一定(発育)水温下に収容し、時間経過に伴う生残率の変化を調べた。その結果、同じ発育水温において低水温(大型卵)由来の卵~孵化後数日後の生残率は高水温(小型卵)由来よりも高く、また、同じ産卵水温(卵サイズ同じ)由来では発育水温が低くなるほど生残率が高くなることが明らかとなった(図2)。
成果の活用面・留意点カタクチイワシの加入成功において、低水温時の産卵は高水温時よりも有利に働く可能性が示され、今後の加入予測の精度向上に寄与されると考えられる。

カタクチイワシの産卵特性は産卵期間中の餌環境の影響を強く受けるとともに、摂餌開始後における仔稚魚の生息環境が成長・生残に影響を及ぼすことが明らかになっていることから、適正な資源管理の実施にはさらにそれら影響を検証する必要がある。
具体的データ
図1
図2
予算区分農林水産技術会議受託(魚種交替の予測・利用技術の開発)
予算区分水産庁受託(資源動向要因)
研究期間2007
研究担当者米田道夫、清水昭男、北野 載(九大院農)、松山倫也(九大院農)、田中寛繁(西海水研)、大下誠二(西海水研)
発表論文米田道夫他(2010)カタクチイワシの初期生残に及ぼす母性効果. 2010年度水産海洋シンポジウム
発行年度2010
収録データベース研究成果情報

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