高知県における天然ヒラメ稚魚の出現と分布

高知県における天然ヒラメ稚魚の出現と分布

タイトル高知県における天然ヒラメ稚魚の出現と分布
要約高知県沿岸に出現するヒラメ稚魚の分布を7年間モニタリングした。その結果、稚魚は3~5月に水深1.5m以浅で多く採集された。海域別の稚魚の密度は土佐湾中央部と宿毛湾で高く、土佐湾西部と紀伊水道では低かった。標準体長20mm以下の稚魚が加入する時期は土佐湾では3月、宿毛湾と紀伊水道では4月と推定され、由来の異なる群が加入していると考えられた。
担当機関高知県水産試験場 漁業資源課
連絡先088-856-1175
区分(部会名)水産
専門資源管理
研究対象ひらめ
分類研究
背景・ねらい高知県のヒラメは主に刺網や小型底びき網で30トン前後が漁獲されている重要種である。ヒラメ稚魚の分布に関する情報は日本の様々な場所で報告されているが、高知県を含む太平洋南区はほとんど知見がなかった。そこで、放流技術開発と資源生態の知見集積を目的として、本調査を平成16年から実施した。ここでは、採集された稚魚の分布状況から推定されたヒラメ資源構造について報告する。
成果の内容・特徴高知県全域の砂浜海岸で西海区水研型Ⅲ型桁網(開口幅1.5m)を曳網し、ヒラメ稚魚を採集した。調査水深は宇佐のみ0~5mとし、その他の地点は1.5m以浅とした。総調査地点数は9点で(図1)、海域特性により、紀伊水道、土佐湾中央部、土佐湾西部及び宿毛湾の4ブロックに分けた。

土佐湾中央部に位置する宇佐におけるヒラメ稚魚のCPUE(曳網時間あたりの採集個体数)は水深1.5m以浅の方が1.5m以深よりも高く、浅所が分布の中心と考えられた(図2)。海域間で稚魚CPUEを比較した結果、土佐湾中央部と宿毛湾で高く、土佐湾西部と紀伊水道で低かった。また、CPUEのピークは宿毛湾と紀伊水道では4月、土佐湾中央部は3月、土佐湾西部は5月であった(図3)。紀伊水道と宿毛湾の4月、土佐湾中央部の3月のCPUEピーク時に採集された稚魚の標準体長は20mm以下の小型個体が多く(図4A~C)、これらの時期が各海域における浅海砂浜域への加入初期と考えられた。一方、土佐湾西部5月に採集された個体はほとんどが大型で(図4E)、加入時期は3月と推定された。また、マイクロサテライト分析で土佐湾中央部と西部間(手結、宇佐、下ノ加江)で遺伝的差異について検討した結果、違いは認められなかった。これらから、土佐湾のヒラメは一つの集団で、その分布の中心は中央部と考えられた。土佐湾における本種の産卵盛期は2~3月上旬で、浮遊期は一般に約1ヶ月であることから、3月に土佐湾で出現する稚魚は地先由来と考えられた。4月に紀伊水道と宿毛湾に出現した標準体長20mm以下の個体は発生時期が土佐湾よりも遅く、土佐湾よりも水温が低い海域、すなわち、紀伊水道~瀬戸内海~豊後水道由来と推測された。
成果の活用面・留意点土佐湾を含む太平洋南区には異なる由来の群が分布している可能性があることから、資源管理や種苗放流を実施する際には、本研究の結果に留意する必要がある。また、この結果は遺伝的に異なる集団の存在を直接示唆するものでないため、遺伝的差異については更に検討が必要である。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分水産庁補助事業
予算区分県単事業
研究期間2004~2010
研究担当者大河俊之
発行年度2010
収録データベース研究成果情報

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