産卵場生態調査で新たに確認されたウナギの生理・生態

産卵場生態調査で新たに確認されたウナギの生理・生態

タイトル産卵場生態調査で新たに確認されたウナギの生理・生態
要約2008年~2010年に行ったウナギ産卵場生態調査で、総数13個体のウナギ(雄7、雌6)と4個体のオオウナギ(雄2、雌2)を捕獲した。生殖腺観察から多回産卵すること、安定同位体比分析から産卵回遊中に摂餌しないことが示された。降りウナギに発信器を装着した行動追跡調査により昼夜で分布水深が大きく異なることが示された。天然仔魚は飼育仔魚よりも成長が早いことが示された。
担当機関(独)水産総合研究センター 中央水産研究所 浅海増殖部 浅海生態系研究室
連絡先046-856-9408
区分(部会名)水産
専門増養殖技術
研究対象うなぎ
分類研究
背景・ねらいウナギ養殖に必要な天然シラスウナギの減少が著しく、人工種苗生産技術の開発が急務となっている。そのため天然親魚の生理生態及び仔魚の生息環境や食性に関する情報が重要となる。産卵場と想定されている西マリアナ海嶺南部海域において成熟親魚や仔魚標本をできる多く採取し、各種分析に供するとともに、成魚の行動生態に関する情報を得ることを目的とした。
成果の内容・特徴2008年に捕獲された4個体(雄2、雌2)のウナギと1個体(雄1)のオオウナギに続き、2009年にはウナギ8個体(雄4、雌4)、オオウナギ2個体(雄1、雌1)、2010年にはウナギ、オオウナギそれぞれ雄1個体を捕獲し、総数13個体のウナギと4個体のオオウナギを捕獲することができた(図1、2)。明らかに産卵後と思われる雌の卵巣に発達途上の卵黄球期卵細胞が多数観察されたことから、多回産卵することが証明された(図3)。ウナギ成魚の窒素炭素安定同位体比を分析した結果、産卵回遊中に海洋起源の栄養を摂取していないことが示された。降りウナギに超音波発信器を装着して追跡したところ、昼間は450-650m、夜間は150-250mの水深に分布し、最大20℃の温度差がある水深帯を往来していることが示された(図1、4)。仔魚が多く採取された水深帯の水温は約25℃であり、人工種苗生産で成績の良い水温と一致した。単一の仔魚パッチを約10日間にわたって追跡することができ、その間の成長を把握したところ、飼育仔魚よりはるかに成長率が大きいことが示された。
成果の活用面・留意点ウナギ天然親魚は浅深移動によって20℃近くもの水温変化を1日のうちに経験している可能性が高い。このような自然界での情報は、優良な人工親魚を養成するために重要な情報となる。1個体から少なくとも2回の採卵が可能である。自然界で仔魚が摂取している餌の解明は人工種苗生産技術開発のブレークスルーとなる。
具体的データ
図1
図2
図3
図4
予算区分運営費交付金
予算区分農林水産技術会議プロジェクト研究
研究期間2008~2010
研究担当者張 成年、黒木洋明、渡邊朝生、岡崎 誠
発表論文1)Chow, S., et al. (2010). Japanese eel Anguilla japonica do not assimilate nutrition during the oceanic spawning migration: evidence from stable isotope analysis. Mar. Ecol. Prog. Ser. 402: 233-238.
2)Chow, S., Kurogi, Y., Mochioka, N., Kaji, S., Okazaki, M. and Tsukamoto, K. (2009) Discovery of mature freshwater eels in the open ocean. Fish. Sci. 75: 257-259.
発行年度2010
収録データベース研究成果情報

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