数値モデルによるマイワシの回遊経路の推定

数値モデルによるマイワシの回遊経路の推定

タイトル数値モデルによるマイワシの回遊経路の推定
要約太平洋のマイワシを対象にした回遊モデルを構築し、マイワシ0歳魚のふ化から北上回遊までを対象にした実験を行い、日本南岸で冬季~春季にふ化したマイワシ仔魚が成長しながら回遊し、夏季~秋季に亜寒帯海域に到達する過程を推定した。モデルにより推定される秋季のマイワシ分布は、観測結果と整合するものであり、開発された回遊モデルが現実的な回遊過程を再現可能であることがわかった。
担当機関(独)水産総合研究センター 中央水産研究所 海洋データ解析センター 海洋モデル研究グループ
連絡先045-788-7648
区分(部会名)水産
専門資源生態
研究対象いわし
分類研究
背景・ねらい太平洋のマイワシは、資源変動の大きな魚であり、ふ化(冬~春)から北上回遊(夏~秋)の期間における生残率の年々変動が、マイワシ資源量の変動要因の1つであると考えられている。マイワシ生残の決定機構を解明するためには、ふ化から北上回遊までにマイワシが経験する海洋環境を把握することが重要であることから、マイワシ0歳魚の回遊経路を数値モデルにより推定する。
成果の内容・特徴マイワシの回遊経路を推定するために、海流による輸送とマイワシの遊泳、そして成長を表現した数値モデルを開発した。好適な生息環境を探査しながらマイワシが遊泳方向を決定するシステムをモデル上に構築し、現実的な環境場(水温,海流,餌密度)を条件として、春季の産卵から秋季の北上回遊までのマイワシの回遊と成長をモデルにより再現した。

日本南岸でふ化したマイワシの仔魚は、主に黒潮によって日本の東側に輸送される。その後、遊泳力がつくことにより(稚魚期~幼魚期)、パッチ状に形成される好適な生息場(水温が10℃~25℃の範囲で高餌密度の海域)の季節的な移動を追いかけるように、主に北東方向に回遊し、夏季から秋季にかけて多くのマイワシが亜寒帯域(図1の赤枠内)に到達することが分かった(図1)。数値モデルは観測で確認されている秋季のマイワシ幼魚の分布を再現し(図2)、現実的な回遊経路の推定に成功した。
成果の活用面・留意点マイワシに関する実用的な回遊モデルを構築できたことにより、マイワシ0歳魚が春~秋にかけて経験する海洋環境を詳細に把握することが可能となった。これにより、マイワシ資源の変動と海洋環境との関係についての解析が加速する。

本モデルの適用魚種を拡張することによりマイワシだけでなく、カタクチイワシ、サンマなど小型浮魚の漁場形成機構の解明にも貢献できる。
具体的データ
図1
図2
予算区分農林水産技術会議プロジェクト研究
研究期間2007~2011
研究担当者奥西 武
発表論文Okunishi, T., Yamanaka, Y., Ito, S. (2009) A simulation model for Japanese sardine (Sardinops melanostictus) migrations in the western North Pacific, Ecological Modeling, 220, 462-479.
発行年度2010
収録データベース研究成果情報

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