施設内土壌とすき込まれた稲わらでのホウレンソウケナガコナダニの発生消長

施設内土壌とすき込まれた稲わらでのホウレンソウケナガコナダニの発生消長

タイトル施設内土壌とすき込まれた稲わらでのホウレンソウケナガコナダニの発生消長
要約
ホウレンソウケナガコナダニの土壌中の発生消長や分布は、休作や耕耘等の栽培管理の影響を受ける。土壌にすき込まれた稲わらでは、土壌と異なるコナダニ密度の変化が生ずる。
キーワードホウレンソウ、ホウレンソウケナガコナダニ、発生消長、生息分布、有機物
担当機関奈良農総セ 研究開発部 環境・安全担当
連絡先 0744-22-6201
区分(部会名)近畿中国四国農業
分類参考、研究
背景・ねらい
近年、中山間地域の施設栽培ホウレンソウでホウレンソウケナガコナダニ(以下、コナダニと略す)による被害が多発し、問題となっている。本種の生態には不明な部分が多く、特に耕耘や休作、有機物のすき込み等のホウレンソウの栽培管理が本種の発生消長に及ぼす影響は調べられていない。そこで、コナダニ多発時期の春期について、栽培現場の管理下における施設内土壌とそこにすき込まれた稲わらでの発生消長や分布を解明する。
  1. 土壌中のコナダニ密度は5月下旬以降低下するが、それ以前は栽培管理に応じて変化する(図1)。冬期休作圃場では、ビニル被覆直前にはコナダニ密度は低いが、ビニル被覆後、ホウレンソウの生育に伴い4月下旬以降高まる(図1-A、B)。一方、周年栽培圃場では、3月でもコナダニ密度が高く推移する(図1-C)。
  2. 5月下旬以降は、コナダニに対して無防除でも、全ての層の土壌におけるコナダニ密度が低下し、ホウレンソウの被害も殆どない(図1-C)。同時期の深さ5cmの施設内土壌における最高地温は25℃以上、最高気温は30℃以上の日が多い(図2)。深さ0~5cmの最高地温は深さ5cmの最高地温以上と推測され、この地温上昇が密度低下の原因と考えられる。
  3. 耕耘前のコナダニ密度が土壌100ml当たり数頭と低い場合を除き、耕耘後にはコナダニ密度が低下する(図1)。薬剤を処理せず耕耘だけ行った場合でも、コナダニ密度は耕耘前に比べて3分の1以下に低下する(図1-A-3/18、同C-4/27)。
  4. コナダニが深さ0~1cmの層に分布する割合は、耕耘期に近い播種後~2葉期を除いて他の層に比べて高い。表層土の乾燥する6葉期~収穫後には、深さ1cm以下の層にも分布する傾向が認められる。深さ10~15cmの層には殆ど確認されない(図1)。
  5. 深さ0~1cmの土壌中のコナダニ密度は、収穫期、収穫後と徐々に高くなり、耕耘後急激に低下するのに対し、土壌にすき込まれた稲わらにおけるコナダニ密度は収穫後に低下し、耕耘後急激に高くなり、異なる密度変化を示す(図1-B、図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、奈良県内の灰色低地土における慣行管理(耕起栽培で、4葉期頃まで十分量潅水後、収穫期まで潅水を控える)下でのものである。
成果の内容・特徴
  1. 土壌中のコナダニ密度は5月下旬以降低下するが、それ以前は栽培管理に応じて変化する(図1)。冬期休作圃場では、ビニル被覆直前にはコナダニ密度は低いが、ビニル被覆後、ホウレンソウの生育に伴い4月下旬以降高まる(図1-A、B)。一方、周年栽培圃場では、3月でもコナダニ密度が高く推移する(図1-C)。
  2. 5月下旬以降は、コナダニに対して無防除でも、全ての層の土壌におけるコナダニ密度が低下し、ホウレンソウの被害も殆どない(図1-C)。同時期の深さ5cmの施設内土壌における最高地温は25℃以上、最高気温は30℃以上の日が多い(図2)。深さ0~5cmの最高地温は深さ5cmの最高地温以上と推測され、この地温上昇が密度低下の原因と考えられる。
  3. 耕耘前のコナダニ密度が土壌100ml当たり数頭と低い場合を除き、耕耘後にはコナダニ密度が低下する(図1)。薬剤を処理せず耕耘だけ行った場合でも、コナダニ密度は耕耘前に比べて3分の1以下に低下する(図1-A-3/18、同C-4/27)。
  4. コナダニが深さ0~1cmの層に分布する割合は、耕耘期に近い播種後~2葉期を除いて他の層に比べて高い。表層土の乾燥する6葉期~収穫後には、深さ1cm以下の層にも分布する傾向が認められる。深さ10~15cmの層には殆ど確認されない(図1)。
  5. 深さ0~1cmの土壌中のコナダニ密度は、収穫期、収穫後と徐々に高くなり、耕耘後急激に低下するのに対し、土壌にすき込まれた稲わらにおけるコナダニ密度は収穫後に低下し、耕耘後急激に高くなり、異なる密度変化を示す(図1-B、図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、奈良県内の灰色低地土における慣行管理(耕起栽培で、4葉期頃まで十分量潅水後、収穫期まで潅水を控える)下でのものである。
  2. [成果の内容・特徴]の5は秋期にもあてはまる(データ略)。
  3. コナダニ適用薬剤であるDCIP粒剤の処理やDDVP乳剤の散布を行っても、収穫期まで土壌中のコナダニ密度を抑制できない事例が多い(図1)。
  4. 耕耘や休作によりコナダニ密度の低下が図れる可能性があるが、その方法や密度低下要因については今後詳細な検討が必要である。
  5. 土壌にすき込まれた稲わらで土壌とコナダニ密度の変化が異なる理由は不明であるが、他にも同様の事例を確認しており(データ略)、本種の生態を考える上で注意が必要である。ただし、秋期の分解が進んだ稲わらではコナダニ密度は低下する(データ略)。
具体的データ
(図1)
(図2)
図3
予算区分 国庫補助(植物防疫事業病害虫防除農薬環境リスク低減技術確立事業)
研究期間2001~2002
発行年度2008
収録データベース研究成果情報

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