LAMP法による有害赤潮渦鞭毛藻ヘテロカプサの簡易検出法の開発

LAMP法による有害赤潮渦鞭毛藻ヘテロカプサの簡易検出法の開発

タイトルLAMP法による有害赤潮渦鞭毛藻ヘテロカプサの簡易検出法の開発
要約遺伝子検査法の一つであるLAMP(Loop-mediated Isothermal Amplification)法を用いて、二枚貝を特異的に斃死させる有害渦鞭毛藻ヘテロカプサ・サーキュラリスカーマ(Heterocapsa circularisquama)を簡易に検出する手法を開発した。本手法により2010年新潟県加茂湖において本種赤潮の初期発生を正確に捉えることができた。
担当機関(独)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所 赤潮環境部 赤潮生物研究室
新潟県水産海洋研究所
連絡先0829-55-3695
区分(部会名)水産
専門赤潮・貝毒
研究対象植物プランクトン
分類普及
背景・ねらい渦鞭毛藻H. circularisquamaは低密度でもアサリ、カキ等の二枚貝を特異的に斃死させる有害赤潮生物であるため、その初期発生モニタリングが重要な課題となっている。本種を含むHeterocapsa属の同定には、細胞表面にある鱗片の形態を透過型電子顕微鏡により観察するといった煩雑な処理を行う必要がある。そのため、特に現場海域における本種の発生確認に困難をきたしており、より簡便、迅速な検出方法の開発が望まれていた。そこで本研究では、現場で使用可能な簡易検出法として、LAMP法による検出手法を開発することを目的とした。
成果の内容・特徴H. circularisquamaのリボゾーム遺伝子情報に基づき、LAMP法プライマーを設計・作製した。そのプライマーセットを用いて反応条件を精査した結果、本種を1時間以内に検出することに成功した。反応は65℃のときに最短で進行することがわかった。細胞の検出限界はDNA抽出液濃度で0.01cells/μlであった。しかし、他のHeterocapsa属、有害渦鞭毛藻およびラフィド藻は10cells/μl以上でも検出されなかったことから、本方法によりH. circularisquamaを特異的に検出できることが確認できた(表1)。反応の有無の確認は濁度計による機器検出のほか、蛍光試薬を用いた目視判定でも可能であった(図1)。本方法では、TE煮沸法により得られたDNA粗抽出液からも本種を検出可能であることから、DNA抽出操作も簡便であり、現場調査へ容易に導入できる方法として期待できる。本方法の現場での有効性を検証するため、2010年7月に新潟県加茂湖で採取した試料(検鏡により2~26cells/mlのH. circlarisquama様細胞を観察)に適用した。その結果、すべての試料から本種の存在を確認することができた(図2)。一方、検鏡で細胞が観察されなかった試料からはLAMP法でも本種が検出されなかった。これらの結果から、本方法は本種赤潮の初期発生を正確に捉えることができ、現場での発生モニタリングに有効であることが確認できた。
成果の活用面・留意点
  1. LAMP法による種同定にはポジティブコントロール(H. ciricularisquamaの標的遺伝子配列試料)が必要となることから、その供給体制の確立が必要である。
  2. 簡易な手法とはいえ、本手法は基本的な遺伝子試料の取り扱いに関する技術の習得が不可欠であることから、技術講習会等の体制整備が必要である。
具体的データ
表1
図1
図2
予算区分その他の研究(水産庁委託)
研究期間2008~2010
研究担当者坂本節子(水研センター)、山口峰生(水研センター)、中尾令子(新潟県)、森 直也(新潟県)、近藤伸一(新潟県)
発表論文1)平成20年度漁場環境・生物多様性保全総合対策委託事業報告書
2)平成22年度日本水産学会春季大会ポスター発表
発行年度2010
収録データベース研究成果情報

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