国産樹種のコンテナ育苗技術の開発

国産樹種のコンテナ育苗技術の開発

タイトル国産樹種のコンテナ育苗技術の開発
要約育苗・造林の省力化・低コスト化のため、国産樹種に適応したコンテナ育苗技術を開発しました。
担当機関(独)森林総合研究所 林業工学研究領域
(独)森林総合研究所 植物生態領域
(独)森林総合研究所 北海道支所
区分(部会名)森林
背景・ねらい現在国内では、材価の低迷等により林業者の造林意欲が薄れており、再造林放棄地の増大などが大きな問題となっています。森林の保続的利用の基本である造林を促進するために、造林初期の省力化・低コスト化が求められています。
海外では、コンテナ育苗技術が確立され、苗木を低価格で供給することが可能となっています。コンテナ苗は普通苗と比べて少ない労力で高能率に植付けることが可能で、育苗・造林作業を通じて省力・低コスト化を実現することができます。そこで、コンテナ育苗技術を国内に導入することにより、造林初期コストを大幅に低減することが期待されます。しかし、国内林業における主要造林樹種は海外のものと大きく異なるため、海外のコンテナ育苗技術の直接的な導入は困難で、国産樹種に適応したものにアレンジする必要があります。私たちは、コンテナ自体の製作も含め、国産樹種の特性に応じたコンテナ育苗技術を開発しました。
成果の内容・特徴

ポット苗とコンテナ苗

コンテナ苗に先駆けて、以前より鉢状の容器で育苗するポット苗というものが生産されていましたが、ポット苗には根巻きの問題があることが次第にわかってきました。根巻きとは、ポットの側面と底面の境界で苗木の根が周回する現象です。そんな苗を植栽すると根どうしが絡みあった形状に成長して互いに締め付け合うようになり、根の損傷や最悪の場合枯死に至ります。そこで根巻きを防止するために、内面に根を下方に誘導するリブ(突起)を設け、さらに底面を開放形状にして根端を空気根切りするようにした容器を多数連結したマルチキャビティコンテナが欧州で開発されました。これにより、ポット育苗の問題点を解消し、なおかつ育苗・造林を省力化・低コスト化することが可能となりました。

コンテナの開発

私たちは海外から輸入したコンテナで育苗技術を研究するとともに、国産樹種に最適化したコンテナの形状を模索しました。そうして開発されたのがJFA150およびJFA300コンテナです(図-2)。国産樹種は雑草木による被陰を避けるため大きめの苗を植付ける傾向にあり、海外のコンテナと比べて容量が大きめであるほか、容器上部に灌水を有効利用するための広がりを設け、連結部には過湿害防止のための水抜き穴を設けるなどの工夫をしてあります。培地には土を使わず、保水材と排水材の混合により保水性を調整します。海外ではピートモスを基本とする培地が広く使用されていますが、日本の夏季の高温多湿には適していないことが分かり、安価で安定供給可能な培地材料を探したところ、ヤシ殻破砕物+モミ殻に行き当たりました。樹種によりこの混合比を変えて、樹種特性に合わせます。

これからのコンテナ育苗技術開発

国産コンテナと育苗技術の開発により、スギ、ヒノキ、ケヤキ等の国産樹種のコンテナ育苗が可能となりました。現在はアカエゾマツ、トドマツなどの北方樹種についても研究しています。コンテナ苗と専用植付け器具を使用して植付け試験を行い、普通苗と比較したところ、高い植付け作業能率を得ることができました(図-3)。現在国産コンテナは、開発後約3年間で約20,000個、苗木本数にして60~70万本分程度使用されています。今後コンテナ育苗技術が普及することにより、育苗・造林の省力・低コスト化が進展することが期待されます。
なお、育苗コンテナ金型の試作は、林野庁「低コスト新育苗・造林技術開発事業」予算により行われました。
具体的データ
図1
図2
図3
研究担当者山田 健(林業工学研究領域)、遠藤 利明(林業工学研究領域)、落合 幸仁(植物生態領域)、佐々木 尚三(北海道支所)
発行年度2010
収録データベース研究成果情報

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