DREB1C遺伝子の発現による陸稲ネリカの乾燥抵抗性の向上

<i>DREB1C</i>遺伝子の発現による陸稲ネリカの乾燥抵抗性の向上

タイトルDREB1C遺伝子の発現による陸稲ネリカの乾燥抵抗性の向上
要約シロイヌナズナ由来の転写因子DREB1Cを発現させた陸稲ネリカ(NERICA1)は、乾燥条件下における生存性、地上乾物重、穎花数および稔実数が向上する。
キーワードDREB1、陸稲、ネリカ、乾燥抵抗性、遺伝子組換え
担当機関(独)国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点
区分(部会名)国際農林水産業
分類研究
背景・ねらい近年、アフリカにおけるコメ生産増進に大きな期待を集め、広く普及しつつあるのがネリカ(NERICA;New Rice for Africa)と呼ばれるイネの品種群である。天水依存度の高いアフリカの稲作においては、乾燥抵抗性が付与すべき重要形質とされる。本研究では、乾燥耐性候補遺伝子DREB1Cを陸稲ネリカに導入し、その発現が確認された形質転換体の乾燥抵抗性向上を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 陸稲ネリカであるNERICA1に導入したのは、シロイヌナズナ由来のDREB1C遺伝子をイネ由来のストレス誘導性lip9プロモーターの制御下に置いたコンストラクト(lip9::DREB1C)である。このコンストラクトを導入した形質転換体においては、DREB1C遺伝子がストレス条件下において発現し、その遺伝子産物が多数の乾燥耐性関連遺伝子の発現を活性化することが期待される。
  2. 形質を評価したのは、1コピーの導入遺伝子をホモ化した形質転換系統のT3植物である。
  3. 形質転換体の乾燥抵抗性を評価するために用いた手法は以下の通りである。1)底に穴を開けた50mLチューブに培養土を詰めて播種し、十分量の水に浸した。3週間後、植物をチューブごと水から引き上げ、無灌水で10日間放置した(急速な乾燥)。その後、植物をチューブごと水に戻して1週間栽培し、新しい葉を展開した植物を生存個体とみなした。2)十分量の水を含む培養土を詰めた4Lポットに、播種後2週間の形質転換体および非形質転換体(NERICA1)を2個体ずつ各ポットに植えた。蒸発散により土から徐々に水分を除去し、土壌水分含量が15%(体積含水率)になるまで乾燥させ、以後この値を保つように適宜灌水した(緩慢な乾燥)。栄養生長後期(播種後2か月)の各個体の地上乾物重を測定した。非形質転換体よりも地上乾物重が有意に大きな系統を再度同様の条件で育成し、表2に示した農業形質を測定・評価した。
  4. 形質転換系統は同条件で育成した非形質転換体に比して以下の傾向がある。1)急速な乾燥条件下における生存率が高い(表1)。2)緩慢な乾燥条件下における栄養生長後期の地上乾物重が大きい(+6~+39%;図1)。3)到穂日数が短い(緩慢な乾燥条件下においては-4.8~-7.3日;表2)。4)稈長が短い(緩慢な乾燥条件下においては-10~-15%;表2)。5)穎花数が多い(緩慢な乾燥条件下においては+10~+50%;表2)。6)稔実数が多い(緩慢な乾燥条件下においては+18~+37%;表2)。7)湛水条件下における藁の乾物重が小さい(-19~-34%;表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 地上乾物重、穎花数および稔実数の向上は湛水条件下においても見られる。
  2. 乾燥抵抗性向上の程度は系統間で異なるので、複数系統から優良系統を選抜する必要がある。
  3. 圃場で栽培試験を行い、形質転換系統のパフォーマンス向上を実証する必要がある。
具体的データ
表1
図1
表2
予算区分交付金〔アフリカ稲作振興Ⅰ〕
予算区分新農業展開ゲノム〔DREB〕
研究期間2011~2015
研究担当者石崎琢磨、圓山恭之進、小原実広、福谷朱代、篠崎和子、伊藤裕介、神代 隆
発表論文1.Ishizaki et al. (2013) Molecular Breeding 31: 255-264
発行年度2012
オリジナルURLhttp://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2012/2012_11.html
収録データベース研究成果情報

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